激ニブ星の恋人?
銀時はふたたび、まわりをぐるっと見渡す。
鬼兵隊メンバーに取りに行かせるわけにはいかない。
新八に行かせようか。
一瞬そう思ったが、やめておくことにする。
銀時は立ちあがった。
「ちょっと取りに行ってくるわ」
ぶっきらぼうに告げて、踵を返し、応接間兼居間を出た。
しばらくして、玄関に到着する。
銀時は玄関の戸をガラガラッと開けた。
敷居の向こうに立っている者の姿が見える。
銀時は眼を細めた。
「……オイ、おめーら、なにやってんだ?」
見覚えのある顔がふたつ並んでいる。
九兵衛と東条だ。
それだけなら、戸惑わなかった。
彼らはサンタクロースの格好をしている。
ただし、九兵衛は膝上丈のスカートである。
その九兵衛がきりりとした堅い表情を崩さすに言う。
「さっき届け物だと言っただろう。物を届ける仕事といえば、この格好だろうが」
「いやいやいや、ソレ違うから。いや、そーゆーカッコすることあっても、季節が違うから」
「若は季節の先取りをしたんです。天下の柳生流ですから」
「意味わかんねーよ、ソレ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、僕をとおしてくれないか。僕はこの荷物を届けなければならないんだ」
九兵衛は強引に足を進めてくる。
つい、銀時は身を退いた。
すると、九兵衛と東条はあたりまえのように敷居を越えて家の中に入ってきて、さらに銀時の横をとおりすぎた。
「おい、なに勝手なことしてんだ」
銀時は彼らの背中に話しかける。
だが、それは完全に無視された。
しかたなく、銀時は彼らのあとを追った。
九兵衛と東条はどんどん進んで、応接間兼居間に行った。
そこにいるのは新八と神楽だけではない。
桂もいる。
そのうえ、鬼兵隊の主要メンバーもいる。
一般市民であれば、ぎょっとするようなメンツである。
しかし、九兵衛と東条は平然としている。
九兵衛は持っている白い袋からなにかを取り出した。
それが届け物なのだろう。
正方形の箱だ。
九兵衛はその箱を両手で持って、テーブルの上に置いた。