激ニブ星の恋人?
「銀さん」
いつのまにか、お妙がすぐそばまで来ていた。
「これを受け取ってください」
そう言って、銀時になにかを差しだした。
小さな木槌である。
「ああ?」
不思議に思いながらも、銀時はお妙の手から小さな木槌を受け取った。
すると。
「じゃあ、それで、ここを思いっきり叩いてください」
お妙は酒樽の上を指さした。
小さいとはいえ木槌で叩けば、酒樽の上蓋は割れるだろう。
それは、つまり。
「だが、なんで、今、鏡開き……?」
銀時は戸惑う。
わけがわからない。
そんな銀時に、また、お妙が話しかける。
「さあさあ、銀さん、早くしてください。みんな、待っているんですよ?」
そう言われて、あたりを見渡す。
みんな、銀時をじっと見ている。
お妙の言うとおり、銀時が木槌で酒樽の上蓋を割るのを待っているようだ。
「……しょーがねェ」
わけがわからないが、みんなの期待に応えることにする。
銀時は酒樽に近づく。
そして、木槌を振りあげた。
「あらよッ……!」
かけ声とともに、木槌を振りおろした。
パッカーン!
小気味よい音がして、酒樽の上蓋が見事に割れた。
それとほぼ同時に。
パーン!
なにかが弾ける音がした。
さらに。
「おめでとう!」
まわりから声が、飛んでくる。
銀時は驚いて、まわりを見る。
視界には、色とりどりの細い紙が垂れさがっている。
クラッカーから発せられた紙だろう。
そして、そのクラッカーを、まわりにいる者たちが持っている。
なんなんだ一体……?
てゆーか、なにが、おめでとうなんだ?
困惑しつつ、眼をテーブルのほうにやった。
そのテーブルの上にはさっきまで九兵衛の届けた箱が置いてあった。
それが、今、箱に入っていたと思われる物が置かれている。
いつのまにか、箱から出されたのだろう。
ホールケーキだ。
糖分を愛する銀時の大好物だ。
そして、そこには、チョコレートの焦げ茶色の文字でなにかが書かれている。
お誕生日おめでとう!
思わず、銀時は笑った。