激ニブ星の恋人?
桂は立ち止まると、銀時をじっと見る。
「……日付は変わってしまったようだが、誕生日おめでとう」
「ああ」
なんだか照れくさくて、それをごまかすように銀時は軽く鼻で笑った。
桂はさらに言う。
「なにかほしいものはあるか」
そう問われて、銀時は考える。
少しして。
「そーだなァ」
思いついたことを、そのまま口にする。
「じゃあ、甘いもん」
「わかった。近いうちに甘味処でなにかおごってやろう」
「それもいーが、それじゃダメだ」
「はァ?」
「今すぐ、くれ」
銀時は手を桂のほうにやる。
「甘いもん」
じっと桂の眼を見ながら、その頬に触れた。
桂はただ見返しているだけで、動かない。
激ニブだから、やっぱり、わからねーか。
そう銀時は思った。
胸の中で苦笑い、自分のほうから動くことにする。
桂のほうに身を寄せる。
顔を近づけていく。
もうすぐ触れる。
そのとき。
桂が動いた。
次の瞬間、口にやわらかいものが押しつけられるのを感じた。
桂の唇だ。
激ニブだが、さすがにここまでくると、なにを求められたのかがわかったらしい。
自分から、くちづけてきた。
それは銀時が誕生日祝いとして求めたことだ。
だが、そうするかどうかは、桂の自由だ。
だから、やっぱり、嬉しい。
くちづけのあと、銀時は桂を腕に抱いていた。
去年の誕生日には、ありえなかったことだ。
ずっとほしかったものが、今、腕の中にある。
けれども。
視線を感じた。
銀時は部屋の戸口のほうに眼をやる。
新八と神楽、そして鬼兵隊の主要メンバーが、のぞき見している。
いつから見ていたのだろうか。
やれやれ、と思いながら、銀時は桂を放す。
しかし、気分は良いままだった。