激ニブ星の恋人?
第二十三話 好きということについて考える
万事屋の応接間兼居間のテーブルの上には、皿が置かれている。
その皿には、みたらし団子が山のように積まれている。
「桂さん、ありがとうございました。さっそくですが、いただきます」
新八がテーブルをはさんで向かいのソファに座っている桂に礼を言った。
その隣では、すでに神楽がみたらし団子の串に手を伸ばしている。
「早い者勝ちアル!」
「あっ、神楽ちゃん、全部取ったらダメ! 一本ずつだよ!」
「だれが決めたアルか、そんなこと」
みたらし団子をめぐって、ふたりは争いを始めた。
「……銀時の分はあるんだろうか」
そんなふたりを眺めつつ、桂はつぶやいた。
万事屋の主は仕事の依頼があり、現在、出かけている。
その好物は、どんどん減っていった。
結局、みたらし団子は一本だけ皿に残された。
「私は優しいから、ちゃんと銀ちゃんの分を残してあげるアル」
えらそうに神楽が言った。
その神楽が桂の持ってきたみたらし団子のほとんどを食べてしまったのだが。
まァ、一本でもあればいいか。
そう桂は思い、新八がいれてくれた茶を飲んだ。
湯飲みをテーブルに置く。
「銀時の帰りは遅くなるのだろうか」
まだ外は明るいが、もうしばらくすれば夕刻だ。
遅くなるようなら帰ろうかと思った。
「いえ、そんなに遅くなるって銀さんは言ってなかったし、もうちょっとしたら帰ってくると思いますよ」
新八が少しあせった様子で言った。
引き留めたいようだ。
その隣で、神楽が右腕を挙げる。
「ヅラ!」
「なんだ?」
「聞きたいことあるヨ」
神楽がテーブルの上に身を乗りだしてくる。
「ヅラの過去の恋愛の話が聞きたいアル!」