激ニブ星の恋人?
新八と神楽はハッとした表情になった。
そして。
「私、定春を散歩につれて行くアル!」
「僕も一緒に行くよ!」
ふたりはそそくさと応接間兼居間から出ていった。
すれ違いで、銀時が部屋に入ってくる。
桂を見た。
「オウ、来てたのか」
「ああ」
銀時が近づいてきた。
何気なく、その視線がテーブルへと向けられた。
「ああっ!」
眼がテーブルの上の皿に釘付けになっている。
「なんだコリャー!?」
「みたらし団子だ」
「そんなの見りゃわかる。そーじゃなくて、なんで一本しか残ってねェんだ!?」
大騒ぎしながら、銀時はテーブルのすぐそばまで行った。
「串だけが山積みになってるじゃねーかよ。この串だけのぶん、新八と神楽が食べたってことか?」
「ああ、そうだ」
「クッソー、だから、アイツら、俺が帰ってきたのがわかって、外に出て行ったのかよ!!」
銀時は桂の正面にあるソファにドカッと腰をおろした。
「俺が仕事で疲れて帰ってくんの、わかってただろーに、ひでーヤツらだ」
ぶつくさと文句を言いながらも、素早い動きで皿のほうに手をやった。
みたらし団子を食べ始める。
「うめーなァ。やっぱ、甘いもんはいい」
その表情はだらしなくゆるんでいる。
糖分を愛しているのだ。
攘夷戦争中には白夜叉と呼ばれ、万事屋の主となってからもその片鱗を見せることがあるのだが、今のこの様子とはかけ離れている。
落差がある。
だが、どちらも銀時に違いない。
そして、そのどちらの銀時も、自分は好きだ。
そう思い。
ふと。
この、好き、はなんだろうと思った。