激ニブ星の恋人?
「あー、もう食い終わっちまった。なにしろ一本しかなかったからなァ」
眼のまえにいる銀時は桂の物思いには気づいていないようだ。
団子の無くなった串を皿の上に置いた。
「喉、かわいた。茶ァいれてくるわ」
そう銀時は告げると、さっさとソファから立ちあがった。
部屋から出ていく。
台所のほうに行ったのだろう。
応接間兼居間にひとり残された桂は考える。
いちおう自分たちは恋人同士である。
銀時から告白されて、そういうことになった。
キスもした。これまで何度もした。
だが、それ以上のことはしていない。
何十年でも待つ、と言われている。
自分がその気になるのを。
銀時のことが好きだ。
しかし、そういうことをしたいとは思わない。
男だから。
結局、自分の中にある銀時に対する好きは、友人に対する好きということか。
でも。
他の友人たちに対するそれとは、違う。
もちろん彼らも大切だ。
しかし、銀時は特別、だ。
その想いは自分の中に揺るがない軸のようにある。
だからこそ、銀時に告白されたあと、友人から恋人になることにした。
銀時が友人でいられないと言うのなら。
だが、つながりを絶ちたくなくて。
けれども、他の男であれば、迷うことなく振り切っただろうに。
自分の気持ちがよくわからない。