激ニブ星の恋人?
第五話 高杉が同情するレベル
「というワケで、私たちがなんとかしないといけないアルヨ!」
神楽はそう主張した。
「……いや、そのまえに、テメーら、なんでここにいる」
机の向こうに立っている神楽と新八をじろっと見て、高杉は聞く。
ここは高杉が借りている隠れ家の一室である。
どこからこのふたりは侵入したのだろうか。
「そんなこと、どーでもいいアル!」
「いや、どうでもよくねェよ」
「いいアル! いいことにしないと話が進まないアル!!」
「……しょうがねェな」
「すみませんー、高杉さん」
新八が謝った。
コイツら、敵だったはずなんだが……。
そう思ったものの、口には出さないことにする。
話が進まないから。
神楽は話をもとにもどす。
「好きだって言っても、愛してるって言っても、伝わらないアル。どーしたらいいアル。頭がいいなら、策を考えるアル!」
知るかよ。
そう高杉は言いかけて、やめる。
過去の記憶が頭によみがえった。
そして。
そうか、好きだって言っても、愛してるって言っても、伝わらなかったのか……。
遠い眼をしそうになって、新八と神楽の存在を思い出し、眼を伏せる。
しばらく考えた。
筆を手に取り、近くにあった紙に、文を書く。
「……こう言えって、銀時に伝えろ」
高杉はその紙を神楽に渡した。
「銀時、話とはなんだ」
桂が銀時の正面に立つ。
銀時は拳をぐっと強く握った。
さあ、アレを言わなければならない……!
思い出すだけで、背中に汗がだらだら出てくるような文だ。
しかし、アレ以上にはっきりしたものはないと認めざるをえない。
意を決した。
頭に文を思い浮かべ、口を開く。
「俺は、おまえの、恋人になりたい」
発火しそうになりながら、どうにか言い終わった。
すると、桂は眼を細めた。
「……日本語の勉強か?」
「なんで日本語の勉強ー!? なんで俺が日本語の勉強をしなけりゃならねェんだよ!」
「それは、ふだんのおまえの言動が滅茶苦茶だからだ」
「メチャクチャじゃねーよ! だいたい、テメーの言動のほうがよっぽどメチャクチャじゃねェか!」
「なんだと!? 俺の言動のどこが滅茶苦茶だと言うんだ……!?」
話はどんどんそれていく……。
アレでもダメだったか……。
遠くからこっそり見ていた高杉は遠い眼をした。