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激ニブ星の恋人?

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第六話 過去回想 知らなくていいよ、今は(※シリアス)



夜はふけて、闇は濃くなり、頭上では漆黒の空を背景に星々が瞬いている。
吹く風はまるで氷の刃のようで、銀時は思わず肩を震わせた。
城下で酒を呑んだ、その帰りである。
クソッ……!
胸のうちで悪態をついた。
せっかく酒を呑んで温まった身体が冷えていく。
せっかく気分が良くなっていたのに酔いがさめていく。
帰ろうとしなければよかった。
城下のどこかの温かい寝床にもぐりこめばよかった。
しかし、今さらだ。
もう家のほうが近い。

道の先に柱二本に横木を渡しただけの簡素な冠木門が見えてくる。

帰ってきちまった。
そう思う。

帰ってきたことを後悔した。
城下の呑み屋からここまで寒い思いをしたから、だけではない。

帰るのは、無意味だ。

あの家は松陽の家だ。
そして、その松陽は死んでしまった。
危険な思想犯として幕府に裁かれ、死罪を言い渡されたのだ。

刑場で死をまえにして、松陽は落ち着いていたという。

だが、そんなことを知ったからといってどうなるというのだ。
落ち着いていたにしても、大暴れしたにしても、そのあと死んだのなら、変わらない。
潔さも、気高さも、死の事実を揺るがすものではない。

みっともなくてもいいから生きていてほしかった。

クソッ……!
また、銀時は胸の中で悪態をついた。

帰ってこなければよかった。
そう思った、そのとき。
冠木門の向こう、家の玄関の戸の近くに、人が立っている。
それに気づいた。

向こうも気づいたらしく、顔をこちらに向ける。

冠木門を通りすぎ、家の玄関のほうへ歩いていく。

切れ長の眼がじっと見ている。

その近くで、立ち止まった。

「なんか用か」
ぶっきらぼうに問いかける。

「……酒くさいな」
それには答えず、文句を言った。
整った綺麗な顔の表情は硬い。

「呑んできたんだから、あたりめェだ」
用件を言わなかったことにはこだわらず、言い返した。

銀時は玄関の戸を開ける。
そして、中に入った。
桂もついてきた。

作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio