激ニブ星の恋人?
「だが、いくらあの青ヒゲたちが頼んできたとしても、オメーに引き受ける義理はねェはずだ」
「その青ヒゲたちは、俺がダメなら、みんなでパー子を拉致して無理矢理にでもこの格好をさせて店に出すと言ってたぞ」
「え……」
パー子は、かまっ娘倶楽部での銀時の源氏名だ。
いきなり自分にお鉢がまわってきて、驚く。
そして、かまっ娘倶楽部の青ヒゲたちが押し寄せてくる様子を想像してしまった。
自分は負けるだろう。
クリスマスの夜、今の桂と同じ格好をした自分がステージ上で膝上丈のスカートをひらひらさせながら踊っている……。
そんな光景が頭をよぎった。
嫌だ!
「俺は引き受けたくなかったが、そうなると、青ヒゲたちはおまえのほうに行く」
桂は重い声で話す。
「しかし、おまえはクリスマスイブには万事屋でサンタをしなければならんだろう。一方、俺は特に予定もなく、エリザベスがクリスマスデートに出かけてしまうから寂しい限りだ。だから引き受けることにした」
ちょっと待て、なんで、あのペンギンのお化けがクリスマスデートに出かけたら寂しいんだ!?
そう銀時は言い返そうとしたが、それより先に、桂が言う。
「だが、よく考えてみれば、おまえならこの格好が似合いそうだな」
じっと銀時を見ている。
その表情は真剣そのものだ。
はっきり言って、桂の美的感覚はおかしい。
今の自分の格好は銀時なら似合うと本気で思っているのだろう。
まさか、断る気になったのか。
そうなったら、青ヒゲたちは銀時を襲うだろう。
聖夜に、ミニスカサンタの格好で踊る自分……。
想像して、背筋がぞぞっと寒くなった。
「いやいやいやいやいやいや」
銀時は小刻みに首を左右に振る。
「俺ァ、絶対ェ、似合わねーよ」
「そんなの、着てみなければわからんだろう。ああ、そうだ、試着してみた……」
「着てみなくてもわかるって!」
桂の言葉をさえぎった。
「つーか、ムリ。俺ァ万事屋でサンタするんだからな!」
そんな予定はなかったが、桂をあきらめさせるために言った。
さらに、落ち着かないので、立ちあがる。
「もう帰らねェとな。アイツら、待ってるだろーし」
「銀時」