激ニブ星の恋人?
しかし、今は満腹だ。
銀時は向かいに座っている桂を見た。
桂はソバを食べている。
残り少ない。
もうしばらくしたら食べ終わるだろう。
視線を感じたのか、桂が顔をあげて銀時を見る。
「こうしているとアレだな」
「アレってなんだ」
「クリスマスというより大晦日のようだな」
深夜にソバを食べる。
たしかに、年越しをしているみたいだ。
ゴーン。
銀時の頭の中で鐘が渋く鳴った。
一気にクリスマスから大晦日に飛んだように感じた。
いやいやいや。
それではいけない。
今日はクリスマスだ。
クリスマスっぽい雰囲気を取りもどさなければならない。
だが、どうしたらいいのか。
銀時は悩む。
一方、桂はソバを食べ終わった。
箸を置く。
「ごちそうさま」
丁寧に言った。
その表情は穏やかである。
顔立ちが整っているので、優美な印象だ。
つい見とれてしまいそうになる。
タチが悪い。
「……さて、では片づけるか」
そう告げ、桂は食器を盆に乗せ始める。
銀時は立ちあがり、桂のほうに行く。
ふと、家がガタッと鳴った。
強い風が吹きつけてきたらしい。
「まだ雪が降っているんだろうか」
片づける手を止めて、桂は言う。
「外はそうとう寒そうだな」
銀時は黙ったままでいる。
もう、そばまで来ていた。
畳に腰をおろす。
桂は戸惑っているような表情を銀時に向けた。
その顔をじっと見て、銀時は問いかける。
「今夜、ここに泊まってもいーか」