激ニブ星の恋人?
桂が眼を見張った。
切れ長の、長い睫毛に縁取られた、綺麗な眼だ。
その眼差しが胸に迫ってくる。
胸に残って、離れているときも思い出したりする。
「……俺は」
形良い唇が動く。
「雪が降る寒い中に、おまえを放りだすほど、薄情じゃない」
つまり、暖かいこの家にいてもいいということ。
泊まってもいいということ。
銀時は軽く笑う。
「オメーはちっとも薄情じゃねーよ」
手を伸ばす。
「むしろ、情に厚いほうだろ。厄介なぐれェに」
桂に、その頬に、触れた。
その小さいころから知っている。
長いつき合いだ。
よく一緒にいた。
一緒に遊んだ。
一緒にバカをやった。
冗談を言い合った。
ケンカもした。
説教されて、耳が痛かったこともある。
でも、それはいつも、銀時のためを思ってのこと。
支えてくれた。
つらいとき、そばにいてくれた。
ともに戦った。
背中を護り、そして、背中を預けてくれた。
あたりまえのような顔をして。
いつだって。
自分のことよりも大切にしてくれて。
思い出すと、胸の奥で震えるものがある。
わきあがってくるものがある。
「好きだ」
それは言葉となって口から出た。
こちらに向けられている桂の瞳が少し揺れる。
頬にかすかな笑みが浮かぶ。
嬉しそうな表情。
その顔に見とれる。
眼に見えない力で引き寄せられる。