二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

激ニブ星の恋人?

INDEX|9ページ/87ページ|

次のページ前のページ
 


「待っていたが、おまえは帰ってこないし、もう帰ろうと決めたところだったんだ」
桂の声を背中で受けながら、銀時は歩く。
寒い中どれぐらい待ったのだろうか。
ふと、そう思い、しかし、それをすぐに頭から追い出す。
どうだっていい、そんなこと。

部屋に入った。
少し進んだところで、畳に腰をおろす。
酔いが完全にさめたわけではなく、身体がだるかった。
あぐらをかき、眼を閉じる。
近くを桂が通り過ぎていくのを感じた。
しかし、なんの反応もせずにいる。

まぶたの向こうで、部屋が明るくなった。
桂が灯りをつけたのだろう。
つい、眼を開ける。

ここは、
松陽が塾生たちに講義をしていた部屋だ。

思い出した。
いくつも。
記憶に残るほどの思い出は数えきれないほどあって、それがこの部屋に降り積もっている。

桂は火鉢の火をおこしている。
勝手知ったる様子だ。
幼い頃からここに通っていたのだから当然だろう。
それにしても、部屋を明るくしたり温めたり、世話好きだ。
始末が、悪い。

「帰れよ」
いつのまにか口が動いて、桂にそう告げていた。

桂は驚いたようにこちらを見た。
そして、なにも言わずに、立ちあがった。
近づいてくる。
自分が出入り口の近くに座っているからかと思ったが、そばまでくると桂は足を止めた。
「……銀時」
桂は畳に腰をおろした。
「最近、おまえはずいぶんと荒れているそうだな。今だって、この距離でも強くにおうぐらい酒を呑んで……」
「うっせェな」
さえぎるように言う。
「説教なんざ聞きたくねェんだよ」
「銀時」
「帰れって言ってんだろ」
言葉で突き放した。
眼をそらし、うつむく。

これで縁が切れてもいい。
もう、どうだっていい。

いっそ、もうなにもかもなくなってしまえ。

自分をつなぎとめるもの、すべて、なくなってしまえ。

作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio