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激ニブ星の恋人?

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「わかった」
めずらしくきりっとした表情になり、銀時はうなずく。
「明日、アイツらから贈られたもんは、全部、受け取って、食ってやる。その代わり、今、オメーが言ったこと、忘れんじゃねーぞ」
「無論だ。武士に二言はない」
「よし」
銀時は気合いの入った返事をし、部屋の外へと向かう。
もちろん、旅に出るためではなく、万事屋に帰るためである。

銀時が帰った。
ひとりになった桂はふたたび湯飲みを手にした。
そして、残っていた茶を飲み干した。
そのあと、つぶやく。
「さて、出かけようか」
湯飲みを持ったまま立ちあがった。
まず台所に行って湯飲みを流しに置き、それから玄関のほうに行った。
家を出る。
夕暮れにはまだ早い時刻なので、外は明るい。
それでも冷たい風が吹いている。
そんな中を、桂は歩く。
やがて、目指していた場所に到着した。
その建物は大きくそびえ立っている。
百貨店だ。
桂は店に入る。
店内には、バレンタインディのための会場が設けられていた。
様々なチョコレートを売る店がたくさん並んでいる。
色とりどりのパッケージなどが見られ、なかなか楽しげな雰囲気である。
が。
「女子ばかりだな」
桂は会場に足を踏み入れるのをためらった。
会場にいるのは女性ばかりで、男の自分は場違いであるように感じた。
だから、引き返す。
しばらくして。
桂は同じ百貨店にいた。
「郷に入っては郷に従え、だ」
ただし、さっき来たときとは違い、ヅラ子の格好をしている。女物の華やかなきものにショールをかけ、髪は右肩のあたりでゆるく結い、顔には化粧を施している。
今度はためらうことなく会場に足を踏み入れた。
女性がたくさんつめかけている中で浮くことなく歩き、それぞれの店を見てまわる。
そして、あまり時間をかけずに買うものを決めた。
店のカウンターショーケースの上に置かれた梱包済みの商品をひとつ手に取り、店員にさしだした。
十代後半ぐらいの女性店員はそれを笑顔で受け取り、金額を告げる。
桂は財布を取り出して、言われたとおりの金額を店員に支払った。
その後、店員からさっきの商品が入った紙製の手提げ袋を渡される。
「ありがとうございました」
店員は明るい声で礼を言った。
それに対し、桂はニコッと笑ってみせる。
桂が去ったあと。
対応した店員は近くにいる別の店員に話しかける。
「さっきのひと、すごく綺麗だったよね」
「うん」
ふたりとも桂が女だ信じて疑わない様子だった。

バレンタインディ当日。
昼まえから空は灰色に染まり、やがて雪が降り始め、夕方頃には積もるようになった。
ホワイトクリスマスならぬホワイトバレンタインだ。
などと、のんきに思えるレベルではない。
作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio