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呪いと祝福、愛情と憎しみ

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 大きな体を縮めてため息をつく大王の気持ちは、ありがたくは思う。なんだかんだ言いつつ、結局自分はこの人に拾われて、この人のために生きてきたようなものだ。それがもうすぐ終わることに対して、さみしく思わなくはない。
 だが、それでも無理矢理摂理を捻じ曲げてまで、この場に留まろうという気は、鬼灯にはない。ある、例外を除いては、だが。
「せめて、見送りは盛大にやろうか。白澤君とかみんな呼んで……」
 悲しげに笑った大王の言葉を、鬼灯は首を降って遮った。
「結構です。私は転生することを誰にも言うつもりはありません」
 告げれば、大王が目を丸める。
「え!? 本当に誰にも言わないで逝くつもり? 白澤君にも?」
「なぜそこでアレの名前が出てくるんです? どうせ私が転生すると言ったって、あの男は喜ぶだけでしょう」
 それは違うんじゃないかと否定しかけた大王を、しかし本日最初の裁判開廷を告げることで、静止する。
 本日最初の亡者が連れてこられ、閻魔大王が渋々閻魔帳を開いた。
 閻魔帳を盗み見れば、丁のページにははっきりと残りの寿命が書き記されていた。あと、一月。
 金丹で僅かばかりは延ばされたらしいそれを鬼灯は、なんの感慨もなく見つめていた。