続 さらば宇宙戦艦ヤマト 11
「ふぁ~帰って来たぁ!」
サーシアが三浦の自宅へ戻ってきてソファーにどっかり身を沈めてそう叫んだ
「うふふ、楽しそうだったけど…やっぱり遠いものね、疲れるわよね…
お風呂入って少し横になったら?それとも先に食事にする?」
母は夕飯の支度を始めようと冷蔵庫を開けた
「地球に着く前に最後の食事が出たからまだお腹空かないわ。」
サーシアはそう言うとお風呂に向かって歩き出した
「ちょっとゆっくり浸かってきます!」
そう言ってリビングを出て行った
「無事戻ってきてくれてよかったな。」
ユキの父は二人の会話をタバコを咥えながら聞いていた
「えぇ…戻ってきてくれると思いながら…あの子の姿を見るまではやっぱり
心配だったわ。」
エアカーの中で聞いたイスカンダルの話はとても興味深かった
「サーシアがお姉さんになってたなんてね…あ、ひょっとしてサーシアが
訓練学校へ行ってる間にミオちゃんが地球へ、って話になったらまた
家が里親に、ってなるかもしれないわね…あぁそうなったら嬉しいわ。
私、頑張らなきゃ!」
ユキの母は生き生きしていた。
「…ユキに感謝だな。ユキだけじゃない…進くんにも…。」
ユキの父はリビングに飾ってある二人の写真を眺めた
「おやすみなさい」
サーシアはお風呂上りに軽く食事を取った後早く休もうと思い自分の部屋に上がって行ったがなんとなく二階の奥のユキと進の部屋に入った
「ただいま。」
サーシアが扉を開けてそう言うと“お帰り”と言われた気がした
「二人には負けないわ…明日からお勉強頑張るから今日は寝かせてね!」
サーシアはそうつぶやくと“おやすみなさい”と静かに言って扉を閉めた
サーシアが気持ちよく寝ているとユキが夢に出てきた
〈お帰りなさい。久しぶりの地球はどう?〉(ユキ)
「えぇ…ちょっと体が重い気がするけど…大丈夫よ」(サーシア)
〈そう、よかったわ…これからお勉強大変ね。〉(ユキ)
「そうなの…大変だわ。私の周りは優秀な人が多くて…本当に困るわ。
その代表格がユキさんなのよ?長官から聞いたわ…全国のテストで全てに
於いてTOPだったって…。ユキさんに追いつけ追い越せで頑張ろうと
思ったけど目標高すぎて無理かも~」(サーシア)
〈やだ、サーシアちゃん、そんなことないわよ。努力する人はちゃんと
結果が付いてくるわ。大丈夫よ!〉
ユキがコロコロ笑いながら話す
〈どう?気持ちの整理、付いた?〉
サーシアはイスカンダルからの帰りずっとすっきりしない心を持て余していた
「わかんない…」
少し拗ねるような話し方のサーシアにユキは
〈そうよね、分からないわよね…島くんもちゃんと話してくれないしね
そう、そこが島くんの悪いところ!まぁ昔っから男の子の方が奥手だ
からしょうがないかな?古代くんにはズケズケ言うくせに…私にも結構
ズケズケ言ってたけど…〉
ユキはサーシアちゃんは特別なのよ、と言いそうになってとどまった
〈まぁ…すでに学校始まってるから学業を優先しないとね…応援してるわ
頑張って!〉
ユキはそう言うと静かにサーシアの夢から消えた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 11 作家名:kei