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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 12

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  「森サーシアです、よろしくお願いします。」

サーシアは寮に着くと寮母さんに挨拶した。島も久々の訓練生の寮に興味津々だ。

  「じゃぁサーシア、ラウンジで待ってるから。」

島はそう言うと“ちょっとお邪魔します”と寮母さんに断わってラウンジへ行った。

  「森さん…特待生ね…。特待生は別棟になってるの。向こう棟ね。荷物は
   それだけ?」

サーシアはちいさなカバン一つだけ持っていた。

  「えぇ、先に送ってありますので…。」

大事にカバンを抱えるとラウンジにいる島に会釈して寮母さんと歩き始めた

  「彼氏?軍の人だよねぇ?ずいぶん立派なんじゃない?」

サーシアは私服なのに雰囲気で判るのかなぁと思った

  「大変だよ、特待生は…それなりの子が入って来るからね。頑張るんだよ。
   …はい、ここが森さんの部屋。先に届いてる荷物は部屋に入ってるから…。」

寮母はそういうとカードキーを渡して元来た廊下を戻って行った。

  「お邪魔します。」

自分の部屋になるのに覗くように部屋に入ると三浦から送った荷物がそのまま部屋の中央に置いてあった。サーシアはそれを確認するとカバンから小さなバッグを取り出して急いで島のところへ戻った。





  「お待…」

ラウンジに訓練生がたくさんいた。その人の群れの中央にいるのは島だった。

  (やっぱり有名人なのね。すぐ判っちゃう…)

サーシアがラウンジの入り口でまごついていると島が気付いて軽やかに右手を挙げて“じゃぁ、失礼。”と行ってサーシアの元へ来た。

  「早かったね、行こうか。」

島はそっとサーシアの左肩をそっと自分の左手でそっと抱くようにうがなしてその場を後にした。

  「若いなぁ~ほんの数年前あの中にいたんだけどなぁ…」

いろいろありすぎてあっという間に過ぎて行った。一緒に学んだ一番の友はこの世にいない…

サーシアは進の事を考えてる、と思い黙っていた。





横須賀基地と横須賀訓練学校は隣り合わせで訓練施設を一部共有している。島は太田が今日、授業があると聞いていたので訓練学校へ顔を出した。

  「失礼します。」

島がそう言いながら訓練学校の受付を見ると見慣れた顔がそこにあった

  「橋本先生!」
  「島!」

二人はお互い歩みよって握手をすると

  「島…よかった…元気そうで…もう、大丈夫か?」

島は進の事を言っていると思い

  「…はい。もう次に向かって歩いています。あいつの分まで生きなくては
   いけないので…あぁ、よかった。橋本先生がいるなら安心だ。」

島がそうつぶやきながらサーシアを振り返って紹介した。

  「あ、橋本先生…今年からお世話になる森サーシアです。」
  「サーシア、こちらね、俺らが訓練予備生の時にお世話になった橋本先生。
   とってもいい先生だから何でも相談するといい。」

そう言ってお互いの顔合わせをした

  「森サーシア…あぁ、森サーシアさんね。聞いてるよ、とても優秀だとね。
   私は訓練予備生の島を知ってる貴重な人間だと思う。私は特待生の担当
   だから君たち全般の責任者さ…よろしくな。」

橋本はそう言うとにこやかに右手を出した。サーシアも右手を出し軽く握手をした。








  「今日はどうした?」

橋本が島に聞くと

  「今日、講師で来てる太田っていると思うんですけどあいつ俺らと一緒に
   ヤマトのメインクルーで…」

三人は応接室でコーヒーを飲んでいた。

  「あぁ、そう言えば履歴を見てお前達と一緒だったんだ、って思ったんだ。
   まだ来たばかりで余り話してないがどんなやつなんだ?」(橋本)
  「はい、とても仕事のできるヤツであいつの航海図を基に航海してると
   120%安心ですね。」

島がにこやかに答える

  「あいつ、あんな風貌だけど自分にも厳しくて…だから多分生徒にも厳しい
   と思いますよ。見た目と全く違うので驚くかもしれませんが…だけど
   すっごいいいヤツで…」
  「そうなのか…最初軍の世界大会の柔道選手権準優勝選手と言うからどんな
   人が来るのか…すごいのがくるんじゃないかと想像したんだが…」(橋本)
  「ははは、あいつ、それ嫌がるんですよ。次の年優勝しようと思ったのに
   経費削減で柔道選手権がなくなっちゃったから…だけどすごかったですよ。
   売られたケンカちゃんと買った後伸びてるヤツを介抱してましたから…」

島が笑いながら言う

  「そうなんだ」






作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 12 作家名:kei