続 さらば宇宙戦艦ヤマト 12
「楽しかったですよ…予備生の時は特に…古代は気が気でなかったみたい
ですけどね…」
島が遠い眼をした
「…ところで島、どうしてお前がこの森さんと一緒に来るんだ?」
当然、不思議に思うだろう事を橋本は聞いた
「えぇ、彼女、古代の彼女の妹なんですよ。」
橋本は一瞬守の事を考えたがどの彼女の事かわからなかった。が、進が婚約してた事を思い出した。
「あのヤマトの…婚約してた、って人の?か?」(橋本)
「そうなんです。だから責任持って私が保護者代わりで…」(島)
「そうなんだ…お前が女性を連れてる所見たことなかったから…なぁんだ…
何事もなければ古代はお父さんになっていたかもしれないんだよな…そうか
妹さんか。森さんも一般からメインクルーになった人と聞いてる…やはり
とても優秀だったとともね…。森さん、期待してますからね!」(橋本)
「はい、姉のように優秀じゃないかもしれませんがよろしくお願いします。」
サーシアがそう答えると応接室をノックする音が聞こえた
「太田です」
「どうぞ」(橋本)
「失礼します」
太田が入ってくると橋本に敬礼して島とサーシアを見た
「すみません」
太田は橋本と島の関係を知らなかったのでいつもよりさらに腰低く応接室に入ってきた。
「太田先生、御苦労さまです!(笑)」(島)
「太田さん、お久しぶりです」(サーシア)
「うわ、島のその“先生”がいやな感じ!…と…どうして…」
太田は応接室に呼ばれたのが不思議だったが予備生の時に島がお世話になったことを聞くといつもの太田になった。
「では橋本教頭、失礼します」
あれこれとさんざん話した後三人が応接室を出る時太田がそういったので島は驚いて
「え?橋本先生教頭になっちゃったんですか?偉くなってる!…あれ?だけど
さっき特待生の担当、って…」
と言ったので太田が
「訓練学校全体の教頭で特待生の責任者、だよ。…では失礼します。」
と言って応接室を出た
「戦艦が近くにある…。」(サーシア)
3人は訓練学校ではなく軍の施設の食堂にいた
「これが飛ぶんだからすごいよなぁ…」(太田)
「他人事みたいに言ってますけどこれ、俺ら飛ばしてるんだぜ?」
島が笑いながら言った
「これ、YUKIより小さいのよね?」(サーシア)
「そうだね、どちらかというと小さい部類にはいるね。でもこうして海に
海に浮かんでる姿を見ると…でかいよね。」
太田がコーヒーをすすりながら言った
「さて…午後の準備があるから行くよ。会いに来てくれてありがとう。
サーシアちゃん、これからよろしくね。」
太田は左手でランチのトレイを持つと右手を振って食堂を出て行った。
軍の食堂なのに視線を感じる。それは島と太田がいる…食堂の片隅で食事をしてるだけなのに周りはわかるようでチラチラこちらの席を見る女性が多かった。
サーシアは落ち着かなかった。なにより周りの女性の視線が全てを語っていたからだ。自分に向けられる鋭い嫉妬心の視線…反対に島に向けられる憧れを飛び抜けた視線…
島は下を向いてじっとしてるサーシアに声をかけた
「よし、俺らも出よう。せっかくだからドライブでも…」
島は立ち会がるとサーシアのお皿と自分のお皿をまとめてトレイに乗せると立ち上がった。サーシアも後を追う。
「何?あれ…島さんの彼女気取りかしら?」
ちいさな声だった。サーシアが女性だけのテーブルを横切った時につぶやくように言った。
サーシアの足が一瞬止まってその声の主を見たが女性は4人グループでそれぞれ黙って食事を続けていた。
「私の彼女に何か?」
島がその声に気付きサーシアの横に立つと女性グループに向かってそう言った。サーシアはやさしい島の一面しか見たことがなかったので驚いた。その4人グループも島を驚いた表情で見ている
「同じ事、私に言えますか?」
島にさっきの女性がサーシアに投げつけた言葉が聞こえていたのだ。
「迷惑だ、彼女に謝れ」
島の言葉に女性たちがまごついていると
「自分の事しか考えられない人間は軍にいらない。」
そう言い放つとサーシアの手を取って食堂を出た。
「なんだ?あの態度…全くなっていない。もう一度訓練学校で精神力を学ぶ
必要があるな」
島はサーシアの手を握ったまま軍の施設を抜けて駐車場へ向かって歩いた。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 12 作家名:kei