続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 2
予定より早く二週間ほどしてミオが森夫妻に預けられることになったのでユキの母とサーシァは受け入れる準備を済ませミオを待つだけとなっていた。
「明日、来るのよね?楽しみだわ!ミオが来たら足りないもの買いに
行きましょう?思い出すわ…初めてお買いものした時の事…
“物を買う”って事がわからなかったから…モールに行くのがとても
面白かったの。マネーカードで買い物する事って当たり前なんだけど
お金というものが存在しないから…だけど便利なモノだなって思ったわ。
ミオはどんな服が似合うのかしら…私はあっという間に大きくなっちゃった
から小さな服、すぐ着れなくなっちゃったのよね…」
心底残念そうにつぶやくサーシァに
「でもサーシァ、ユキのお古を着てくれたでしょう?お母さんとても
嬉しかったの。寮から引き取ったものの誰も着なくて…だけど処分する
事も出来なくて…サーシァがまた似合うのよね…容姿が似てるからか
本当に似合ってて………ごめんなさい、…泣くつもりなかったのに…」
母はユキの事とサーシァの優しい心と思い出して涙が出てきてしまった。母の暖かい思いがサーシァの心に入ってくる…
「お母さん、泣かないで。いいの、私の事“ユキさん”だと思ったって…
だって私達姉妹になったんですもん。ユキさんのおかげで私はこの世に
生を受けました。地球へ来て幸せでいられるのはユキさんのおかげ…
お母さんとお父さんと逢えて本当によかったって思ってるわ。」
サーシァが素直に自分の心を話す。
「いつか私も宇宙へ行く…たくさん心配をかけると思うの…だけどそれを
許してくれるお母さん、大好きよ。」
サーシァが自分より小さな母に抱きついた。
「藤堂です。」
インターフォンが鳴って母がすぐ門に出た。
「いらっしゃい…長官もお疲れ様です。遠いところありがとうございます。」
玄関に入ると父とサーシァが待っていた。
「おじいちゃん、こんにちは。」
「おぉ、サーシァ…ミオを連れてきたよ。」
今日は藤堂は妻も連れて来ていた。
「すみません、私までお邪魔して…」
申し訳なさそうに上がってきた藤堂の妻に
「何をおっしゃいますか…この姉妹のおばあちゃんじゃないですか。
とすると私の母となるわけで…どうぞいつでもお越しになってください。
古代くんがせっかく残してくれた家ですから…みんなに見てもらいたいん
です。娘も喜びますわ。」
ふたりはにっこり笑った
「おばあちゃん、お庭見に行こう!」
サーシァはミオを一緒にバルコニーに出て藤堂の妻を呼んだ。
「はい、今行きますよ。」
ゆっくりとした動きでバルコニーに出ると目の前に三浦海岸が広がっている
「まぁ…すばらしいところね。こんなところでお茶ができたら時間が経つの
忘れてしまいそうだわ。」
風に吹かれながら藤堂の妻が言った
「この空と海をずっと守れますように…」
そう言って手を合わせるのだった
今日はユキの母が料理をふるまった。所狭しと料理が並び藤堂とユキの父はお酒が進む。ユキの母と藤堂の妻も少しアルコールが入りいい気分だった。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 2 作家名:kei