a-o-wのボツ作品集
良くも一回も噛まずにこんな長い説明をスラスラと言えたものだな。
ところどころで、ん?ってなる説明があったけどそれを吹き飛ばすようなこの口ぶりには悔しいけど感服したな…まさに『論破』したって感じ。
「つまり君は一見とてつもない美人さんだというのに内面は残念で仕方がない中二病だということだね。悪いが僕がこの世で嫌いなのは友情・努力・そして中二病だ。そういうことで君と僕は一生分かり合えない。さっさとここを立ち去りたまえ。それではさ・よ・う・な・らっさようなら!!」
「ま、待って!この案件はどうするの?」
「そんなの僕がやるまでもない。適当に君が受け持って適当に終わらせてくれたまえ。お話という名前の武力介入は君の得意分野ではないか存分に暴れてきたらどうだ頭がさっぱりしてその中二病的思考が少しはマシになるだろう。報酬は全て君にくれてやる」
「駄目だよ。これはセルシア執務官長から直々に依頼された内容なんだから。ちゃんと二人でやらないと」
「それが気に食わないと言っているのだよテスタロッサ」
「え?」
「考えてみたまえ。君も何度もみているだろう?セルシアは自身が受け持った案件は全て自分で解決する。だがこんな陳腐な内容の案件を奴は君と僕に託したんだ。僕が釣れるようにこんな高額な依頼達成料を添えてね。それに他の地上本部のにわか執務官どもがこの任務に失敗しているのも不自然すぎる。間違い無くこれは僕と君、いや、僕をハメようとしているに違いない」
「あ、…ほんとだ」
案件書類の下の欄に小さく書いてあったが…この案件は今回が始めてではないらしく、過去にも何度か他の執務官が受け持った事が書かれていた。
しかも結果は全て失敗。
何かが不自然だ。
「つまり、さっきも言ったとおり君は使われたんだよテスタロッサ。この案件は僕をハメようとするセルシアの罠、そしてその罠を仕掛けるために君は奴の一つの駒として利用されたのだよ」
「そんなことっ!無いよ…きっと…」
セルシア執務官長は立派で素敵な人だ。
レクサスに対して何かあるのかも知らないけど、そんなことの為に私を利用しただなんて考えられないよ。
「テスタロッサ。手と手をつなげれば皆友だちと考えているその残念な頭に一つだけ僕が入知惠を与えよう。この世界、いやどの世界にも物事は『白』と『黒』に分けられるのだよ」
「白と…黒?」
「白と黒。捉え方によっては人様々だ。僕にとっては白が正義、黒は悪と考えている。テスタロッサ、君は白と黒と聞いて一体何を思い浮かべた?」
白と黒。
なんだろう…。レクサスは一体何を伝えようとしているのかな。
どうしよう、わからない。
何かが思い浮かぶんだけど…それから何もこみ上げてこない。
「まぁこの件は後でじっくり考えると良い。そしてここをさっさと立ち去るんだ。そろそろその綺麗な金髪がうっとおしくなってきた」
「えっ、いやだからこの案件は…」
「だから僕は何度も言っているではないか~武力制圧は君が最も得意とする分野なのだろ?だったら君が行って来れば良い僕はその間優雅に紅茶を飲みながら音楽観賞に浸るとしよう」
「そ、そんな…」
「その事なのですがレクサス様…」
「ん?どうしたんですかヒツジさ~ん」
ヒツジさんが何か申し訳なさそうにレクサスに耳打ちする。
「いやはや…この前レクサス様が購入されました次元航空船のローンの返済が予想以上に大変でして…それと維持費が大変なのです。最悪、これ以上家計が苦しくなる前に売却へ…」
「なんですってぇぇぇッッ!!?だ、駄目です!!あれは絶対に売っちゃだめ!!僕まだ運転してないもん!!」
「しかし…レクサス様は船舶免許を持っていらっしゃらないのでは…」
「大丈夫です!!今度絶対に取りますから!!」
…なんかレクサスの性格がわかってきた気がする。
この人は見た目は大人だけど中身は子供のままで成長が止まっているんだ。
「それでですな!レクサス様。先程ハラオウン執務官が持ってこられましたこの案件の報酬額が、なんとローンの返済額の総額とピッタリなのです。これは良い話だと私は思うのですが~どうですかな?」
「えっ?」
「やりましょうッ!!」
「えっ!?」
「ミッドチルダの治安を乱すゴミどもめぇぇッッ!!他の執務官どもはコテンパンにしたつもりでも僕が来ればそうも行かないぞド低脳どもがァァァッ!!奴らの唖然とする顔を全てカメラで取ってネット上の掲示板にモザイク無しで貼り付けて中傷コメントだらけにさせてやるわ顔を洗って待っていろよシャ~~ッ!!ハッハッハッハァァァァァッッッ!!」
「っ!ヒツジさ−−−」
「おや、もしかしては私は余計な事をしてしまいましたかな?どうですかなテスタロッサ執務官。はっはっは」
ヒツジさん。凄すぎます。
本当にあなたは口髭がよくにあうジェントルマンさんです。
私は心底感服いたしました。
・・・
設定資料
題名「モノクロブレイク!」
−原作− 魔法少女リリカルなのは
主人公は「フェイト・T・ハラオウン」時空管理局執務官になったばかりの物語。物語はフェイト視点で進んでいく。フェイトは晴れて執務官となったが成り立て…ということで上層部から半年間、先輩執務官と一緒に行動することとなった。
しかしその先輩執務官「レクサス・A・インフィ」はとにかく口八丁で気分屋、自分の思い通りに行かないと駄々をこねる自己中心的なナルシストだった。
まったく相性が合わない二人、まさに白と黒。フェイトはレクサスと共に行動し、次第に本当の正義の有りどころと自身に課せられた義務を自覚し、一人前の執務官として成長していく−−−。
今回は「成長」がキーワードの物語。新感覚な魔法少女?痛快論破コメディ初まります。
・舞台・
基本はミッドチルダ。だが話事に別世界での行動がメインとなる予定。
・設定・
完全オリジナル二次創作作品。時系列としては新暦71年、フェイトが時空管理局執務官の資格を得た瞬間から始まる。一応前々作である「ooo after」に繋がる。
ジャンルはコメディ。戦闘描写は前作、前々作より少なくし、主にレクサスの論破が武器となってくる。ゲストとして本編のキャラを何回か出す予定。ただしクロノは執務官のため何度も出てくる。
・主要キャラクター・
フェイト・T・ハラオウン
今作の主人公。年齢は15歳。今作は時空管理局執務官の資格を得たところから始まる。物語は彼女の一人称で進んでいく。まだ執務官としては成り立てなので情に流されやすく、試験の成績は優秀でも実際の任務では使い物にならないと判断した上層部は執務官の中でも異例な存在と言われるレクサスの元へと送られることとなる。毎日、レクサスに弄られることとなるがそんな生活のなかでフェイトは次第に執務官として成長していく過程が描かれていく。
レクサス・A・インフィ
作品名:a-o-wのボツ作品集 作家名:a-o-w