続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 3
「森です。」
森夫妻はミオの通う小学校の応接室にいた。すでに校長と教頭が待っていた。
「すみません、呼び出すような形となってしまって。」
校長が申し訳なさそうにいいながらソファーに座るよう言った。
「失礼します。」
二人が座ると校長が前かがみになり話し始めた。
「早速ですが…あ、今日、ミオさんは?」(校長)
「えぇ知り合いの家へ泊まりに行っています。」(父)
「ご主人は仕事先から?」(教頭)
「はい、緊急と聞きましたので」(父)
「ミオさんが留守という事は少しゆっくり話をして大丈夫でしょうか?」
校長が確認したので“大丈夫です”と父は言った。
「まずこのひと月の間でミオさんの進行具合が異常に早かったので今回
IQテストを行いました。あ、これはミオさんだけでなく全体で行いました。
その結果が先日…昨日でまして職員会議の結果一度保護者の方とじっくり
お話した方がいいだろうと思い今日、連絡しました。」(校長)
「…で、ミオは?」(父)
「IQが160超えています。これ以上はこのテストで計測することができま
せん。がIQを調べた所で意味ありません。これから私たちがするべきこ
とはミオさんがよりよい環境で勉強できるよう整える事しかできません。
ミオさんは将来を希望する職業とか言っていませんか?」(校長)
そこで校長に地球に来て間もない、とは言えないので
「いえ、特に…あの子は寡黙な子で…だけど勉強するのがとても楽しい様子で
テレビも見ず本を読んでばかりです。おそらく上の娘が読んだ本は全部
読んでしまったでしょう。多分、将来より今何ができるかを考えている
んだと思います。」(父)
「そうですか…しかしこれだけIQが高いとなると別の心配も出てきます。」
校長が言いにくそうに話を続ける
「実は子供たちの誘拐が多いのはご存知ですよね?(両親が頷く)その中でも
IQの高い子供はその危険が増します。日本は比較的治安がいいので誘拐件数
も少ないですがまだまだ子供が少ない世の中、日本もどうなるかわかりま
せん。」
「…それはミオをここで面倒見る事は出来ないという事ですか?」
父が単刀直入で聞いた。
「いえ…そうでは…ただ登下校の間に有事が起きる可能性もないとは…」
しどろもどろの校長に父は
「通学途中のバスが乗っ取られたらミオの責任だと言うのですか?学校は
忠告したのに通い続けたからこうなったと言い訳するつもりですか?」
父がめずらしく興奮していた
「なんて学校だ、てっきり飛び級の話だと思ってどこの高校ぐらいなら
編入できます、みたいな話だと思って来てみたら…もう、ここにはお世話
になりません。相談するところはいくらでもありますから。」
父親は立ち上がると
「娘の荷物は送ってください。」
母も慌てて立ち上がった。
「ユキの時はもっと親身だった。ありえない!」
父はそのまま応接室を出て行った。母は応接室を出る時一応お辞儀をして父の後を追った
「うわぁ…」
三人は叔母のサーシァの宇宙船を見に来ていた。そこは南部重工業の地下都市の倉庫だった。ミオが近付こうとすると叔母のサーシァの意識が流れてきた
<ミオ…いつもお墓に来てくれてありがとう…そして地球へ来てくれて…
私に会いに来てくれて本当にうれしいわ。ここにはあなたのお母様の
差し伸べた手があるわ。私はその橋渡しをしただけ…私は幸せよ…
お姉様が幸せになってくれたから…あなたが何の答えを求めてるかも
私は知っている…地球にはコスモナイトという鉱石があるの。コスモナイト
は地球上にはないけれど太陽系のタイタンという衛星にあるの。>
(コスモナイト…白銀に光るあの鉱石?)
<そうよ…それを使う事によってヤマトは波動砲も撃てるように開発された…
もともとはエンジンを回すための燃料の一つだったけれど開発者はそれを
内面だけでなく外に向けて身を守るために使う事を発見したの。>
ミオはじっと聞いていた
<私の宇宙船のエンジンの燃料はあなたのご想像通りイスカンダリウムよ。
ウランと結合させて燃料を余り補給することなく運航することができる
省エネルギーだけれど高いパワーを維持する事ができる…今までにない
燃料なの。イスカンダルでは普通の事だったけれど地球人は驚いていたわ。
こんな小さな宇宙船が燃料タンクを積んでいるわけでもないのにこんな
遠くまで来た、って事に…>
ミオは我に返った。そして宇宙船に触れた
(叔母様…私に力を下さい)
ミオは宇宙船の中に入った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 3 作家名:kei