続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4
<ミオちゃん、大丈夫?>
ユキとテレサが夢に現れた。
<私たちもサーシァに訴えてたんだけど…やはり姉妹の絆ってすごく強いのね。
あなたのテレパシーに敵わなかった。だけど南部くんが来てくれて本当、
よかったわ。>(ユキ)
「ユキさん…」(ミオ)
<もう、大丈夫よ。何も心配する事ないわ…南部くんが守ってくれる…
私達の出番ももうないわ。>(テレサ)
「待って…」(ミオ)
<あなたの手で…幸せを掴むの…何もしなくて後悔するなら行動を起こして
後悔する方がいいのよ。一歩踏み出す事はとても勇気のいる事だけど
一歩踏み出してしまえばこれから先ちゃんと歩いて行けるわ。>(ユキ)
ユキとテレサは顔を見合わせた
「待って…もう、会えないの?そばにいてくれないの?」
ミオの眼から涙が溢れてきた
<いいえ、そばにいるわ…いつもあなたとサーシァを見てる。>(テレサ)
<ただ…もう、一人で大丈夫…ううん、一人じゃないから大丈夫よね、って事。
自分の気持ち、分かったでしょう?英雄の丘に来ればいつでも私達はそこに
いるわ。>(ユキ)
ミオの意識の中から二人が消えた。真っ暗闇に残されたミオは冷たい床に座って涙を流し続けた。
「どうした?」
自分の涙をふく温かい手を感じてミオは目が覚めた
「起こしちゃったね。お腹空かない?」
南部が様子を見に来ていた。ミオは首を振った
「ごめんね、泣いてたから…また悲しんでるのかな、って思ったらかわいそうで
起こしちゃったね…」
南部はそう言うとミオの頭をくしゃっと撫でた
「ユキさんとテレサさんが…私にお別れを言いに来たの。待ってってお願い
したのにふたりでどこかへ行っちゃった…何度も何度も話を聞いてもらった
りしたのに…」
ミオの眼からぽろぽろ涙が落ちる。
「ミオ?」
南部がミオの手を握った
「ユキさんを…古代に帰してあげよう。テレサさんも自分の星の仲間の所へ
帰してあげよう。ミオにも帰るところがあるように二人にも帰る場所が
あるんだ。」(南部)
「帰る場所?…私、イスカンダルにはもう帰れないのよ?」(ミオ)
「ミオの帰る場所はココ…俺の所。ミオの事全部俺が受け止めるから…
泣きたい時、助けてほしい時…甘えたい時…誰かといたい時…いつでも俺が
そばにいるから…宇宙(上)に行ってる時はさすがに難しい部分があるけど
できるだけミオと一緒にいる時間を作るから…俺と一緒にいて。
ミオを悲しませたくないんだ。あの時はっきりわかった…俺はミオの事が
好きなんだ、って。もっと早くに気付いていれば…いや、もっと前に気付い
ていたのかもしれないけど…自分の気持ちにもっと早く気付けば…ミオを
傷つける事なかったんだ。俺が、悪かったんだ…ミオは何も悪くない…」
南部は優しい顔をしていた。
「ミオが古代の姪だから…ちょっと悔しい気持ちもあったのかもしれない。」
南部がそう言うと
「どうして?」(ミオ)
「同い年で…同じ戦闘科出身で…砲手で…だけど何一つあいつに敵わなかった
から尊敬してたけど…ライバルにもなれなくて悔しかったんだ。男同士
なんだけど“ヤキモチ”みたいなものがあったんだ。だからそのライバル
にさえ認められなかった俺がミオの事好きになったら全部負けたような
気がしちゃってたんだ。……だけど違った。ミオはミオで…古代じゃない。
ミオは俺をちゃんと見てくれてた。“南部”の事知った後もずっと一人の人
として見てくれてた。」(南部)
「だって…南部さんは南部さんでお父さんとは違うもん。」(ミオ)
「そうだね…ありがとう。でもなかなかそう思ってくれる人は少ないんだよ。」
南部がずっと握っていた手をミオが握り返した。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4 作家名:kei