続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4
「気持ちいい!」
トウキョウシティに入るまでしばらく海岸線を走りそれから緑地帯へ入る。ミオが地球へ来た時はまだまだ赤茶けた砂漠地帯だった。
「随分緑化に成功したわね。空気が違うわ。」
ミオは窓を全開にしていた。緑化促進にミオの研究が役に立っているのは言うまでもない。イスカンダルで学んだこと、イスカンダルから持ち帰った技術で地球は今も少しずつよみがえろうとしている。
「ねぇ南部さん、ヤマトがコスモクリーナーを作動させたのよね?」(ミオ)
「そうだよ。」(南部)
「放射能を除去すると数値が0になるの?」(ミオ)
「そう。まぁ自然界で0はあり得ないからコスモクリーナーによって0になる
って事だよね。で、しばらくすると雨雲が発生してかなりどしゃぶりの
雨が降るんだ。だから当時雨が降ったら放射能除去完了、って事になったん
だと思う。……どうかして?」(南部)
「うん、完璧に任務完了するなら海が海水にならにとダメなんじゃないかと
思ったの。だからひょっとしたらコスモクリーナーに真水を海水にする
何か…もしその装置がなくても海水にするヒントがあるんじゃないかと…」
南部はミオの話をじっくり聞いた。
「私、海を再生したいの。」
今まで何人もの科学者がトライしては諦めた事にミオは取り組もうとしている。
「本気?」(南部)
「もちろんよ。イスカンダルの威信にかけて…やり遂げて見せるわ。」(ミオ)
「そうか、頑張れ。南部にできる事はなんでもお手伝いしましょう。」(南部)
「ありがとう。早速なんだけど今日、コスモクリーナーを見て…それから考える。
あれ?南部さんいつまでお休み?」(ミオ)
「今回長期滞在だったから一週間休みをもらえたよ。明日の午後はオヤジの
パーティーあるけど他何も予定ないからお嬢様のお手伝いをしましょう。」
南部が嬉しそうに言うので
「そんなにパーティーって楽しいの?」
と聞いて来た。
「楽しくないよ。近寄ってくるのは俺じゃなくて“南部”のバックグランド
がほしくて近付くんだ。本当に俺の事を見てくれる人なんていないよ。
今までで“南部”の家を無視してくれたのはユキさんだけだった。ユキさんさ
きれいでしょう?だから俺もちょっと気になって声掛けたの。ユキさんは
看護士もしてたから第一艦橋勤務が終わると医務室に行ってたの。で、俺も
休憩時間狙って声かけたらさなんて返事したと思う?」
南部が笑いながら言うのでミオは全くわからず返事をしないでいると
「南部くん、具合が悪いなら医務室に来て。」
一瞬ミオは意味がわからなかった。
「ついさっきまで一緒に勤務してて…見るからに具合なんて悪そうに見えない
のに声かけたらその返事。その時“脈ナシ”だなと思って…で、そのうち
ユキさんが古代の事を見てるのに気付いて…俺は応援に回ったの。」
ミオはなるほど、と頷いた。
「多分、まじめなんだよ。いつも仕事が頭にあって…すごい人だな、って
思ってた。」(南部)
「じゃぁ南部さんがフラれたのってユキさんだけ?」(ミオ)
「いや、そんなことないよ。女性はフラれるのイヤでしょ。だから逆にフラ
れてあげるの。」(南部)
「へぇ~モテる人の余裕の発言だ。うちの研究員に聞かせてあげたいわ。」(ミオ)
「モテるの?」(南部)
「う~ん、モテるのかもしれないけどハナにかけてて嫌な感じかな。こう、
“俺見て?”的な…多分モテるんだろうな。飛び級して軍に入って研究所
に来た人だから。」(ミオ)
「…そばにいるの?」(南部)
「私の部屋の研究員。今ね3人助手がいるうちの一人。」(ミオ)
「ミオ、俺の経験上、自分の誇示する人はその人に興味がある、って事だから
気を付けて…できるだけ二人にならないようにね。」(南部)
「え?そうなの?全然そんなのないけどなぁ…」(ミオ)
ミオもサーシァも他人意識には敏感だが自分へ対する気持ちなどに関しては全く鈍感だった
(これは古代に似たのか?)
そう南部は思いつつ運転していたがふと
「ねぇミオ、パーティー出てみる?」(南部)
「え???」(ミオ)
「南部の一族、って事にすれば出られるしどんな世界かみてごらんよ。
こんな世界もあるんだ、って…まるっきり別世界だからさ。」(南部)
「でも…」(ミオ)
「それ母も参加するし…俺と母が一緒にいれば大丈夫だよ。…長官もいるし
そうだ、長官だけには行く事言っておこう。」
南部はそう言うと運転をオートに切り替えると通信機でメールを打った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4 作家名:kei