続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4
長官からはすぐに了承のメールが届いた。パーティーには晶子も出席するようになっていたのでミオもたいくつしないですむだろうという事だった。
「さて…とりあえず地下都市へ行きますか。」
南部は実家による前に地下都市の入り口へ向かった
「ここ。…俺も久しぶりに見るな…」(南部)
「これ?随分大きいわね。」(ミオ)
ミオが部屋に入るとすぐに暖かい空気に包まれた。
(お母様の意識かしら?)
そう思いながらミオはコスモクリーナーに触れた。すると頭に設計図が浮かんできた。
(あぁ…なるほどね。だけど…それを作る事可能かしら…)
ミオの頭の中はフル回転していた。
(当時…コスモナイトはほとんど戦艦を造るために使われていたしここで使う
なんて思ってもいないはずだわ。イスカンダリウムをあの時乗せればよかっ
たのかもしれないけどあの設計図じゃどうやって使うのかわからないかも
しれないわ。)
ミオはコスモクリーナーの操縦席に座った。
「ユキさんがね、最初にそのコスモクリーナーを始動させたんだ。」
南部がミオの後ろからつぶやいた。
「地球を目前にしてデスラーがヤマトに追いついた…ワープしてヤマトにぶつ
かって…白兵戦を挑んできた。デスラーは放射能ガスをヤマトに送ってきた。
ユキさんは古代を助けたい一心でこのコスモクリーナーを作動させた。
まだテストもしていない状態でね。真田さんが制止したがすでにガスが
ヤマトに充満しつつあった。ユキさんは“今テストすればいい”と言って…
真田さんがコントロール室で誘導しながらコスモクリーナーを始動させた…」
「…成功…したのよね?」
ミオが操縦席に座ったまま南部を見たが南部は静かに首を振った
「実は…不具合が発生して…ユキさんはそこから落ちて…死んだんだ。」(南部)
「ウソ…」(ミオ)
「古代が…ガミラス人を倒すべく向かったのを見てユキさんは古代が死んで
しまうのが耐えられなくてコスモクリーナーを作動させたのに…古代は近く
にあった宇宙服を着て助かったが…代わりにユキさんが…」
ミオは静かに聞いていた
「それから真田さんが不具合の原因を突き止めて改善したが…ユキさんが
戻って来るわけじゃなく…ヤマトはまるで撃沈されたかのような空気がいつも
ながれていた。地球は目前だった…古代はこの世の終わりのような顔をして
毎日ユキさんの遺体が安置されてるところで過ごしていた。その姿がまた
痛々しくて誰も咎める事が出来なかった…ヤマトはそれでも地球が目視できる
ところまでやってきた…がまたそこでデスラーがやってきてデスラー砲を
ヤマトに向けて撃ってきた。もう、ダメだと思った時真田さんがガミラスの
攻撃にヒントを得て作っていた防御装置を作動させてヤマトはデスラーを
葬った…。古代はユキさんに一目地球を見せたい一心で遺体安置所から
連れてきたんだ…で、さっきの一撃の後奇跡的にユキさんが息を吹き返して
蘇ったんだ。あの時の古代の喜びようは尋常じゃなかった……誰もが喜んだ。
だけど…それと同じころ…艦長が帰らぬ人となってしまったんだ。まるで
ユキさんに“生きろ”と言ってるかのようにね…まさかそれから一年余りで
向こうで再会するとは思ってなかったと思うけどさ。」
ミオは静かに涙を流していた。
「コイツには…泣いたり笑ったり…ユキさんは真田さんが育てたようなもので
13歳で実家を出て医師から看護士に転向してからずっと真田さんが保護者と
してずっとそばにいた。ミオのお父さんと真田さんは親友でずっと古代を
実の弟のようにかわいがっていた…その古代とユキさんが結ばれることを
誰よりも喜んでいたのは…真田さんだった…」
南部も涙を流していた。
「誰もが幸せになる権利を…使おうとしていたのに…あの白色彗星が…ズォーダー
が地球を選ばなければ今頃二人にも子供が出来て…にぎやかになってたと
思う。ミオとサーシァにしたら“いとこ”になるのかな…」
南部は涙を拭きながら話した。
「ごめんね…すごい古い話しちゃってさ。ミオがそこに座ったらなんだか
ユキさんの事思い出しちゃって…さっき写真見たからかな…」
ミオは操縦席から降りてきた
「ううん、大事な話してくれてありがとう。ここにきてよかったわ。」(ミオ)
「もう、帰って大丈夫か?」(南部)
「大丈夫。もう、頭に入ったわ。」(ミオ)
二人はエアカーに乗って地上へ戻って行った。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4 作家名:kei