続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4
「用意できたか?」
南部の父が玄関で声を掛けた。
「できましたよ。」
南部がミオを振り返って父に返事をした。
「…ミオちゃん、似合ってるねぇ。社交界デビューとなるわけだ。まぁ今回は
康雄から離れないようにね。政界のトップが揃ってるからテロが起きないとも
限らない。康雄はコスモガンを持ってるから…康雄もミオちゃんをしっかり
頼むな。」
玄関を出ると南部の社用車が二台待っていて先のエアカーに南部の両親が、後ろのエアカーに南部とミオが乗った。
「緊張してきた…」
ミオがめずらしくハンカチを握りしめていた。
「ははは、父さんがあんなこと言うからだよね。まぁ絶対安全という事は
ないから用心して。で、何か察したらすぐに教えて。ミオの直感俺は信じて
るからさ。危険を感じたらすぐ知らせて。で、もし俺と離れて危険を感じたら
これ、使って。」
南部が渡したのは戦艦に乗ってる時肌身離さず持っている発信機。
「これ、思い切り折ると俺の羅針盤に繋がるように設定したから…」
南部から受け取ったミオは
「設定したの?」
と聞いた。
「俺だってそれぐらいの設定は出来ますよ。」
南部はそう言って笑った
パーティー会場は南部の実家から近くエアカーで15分程で着いた。
(うわ…明るい…)
ミオはパーティー会場を見て瞬きした。華やかなライトと女性のドレスがキラキラして別世界だった。少し離れたところに藤堂がいた。藤堂もミオに気付いて近付いてきた。
「ミオ、見違えるようだな…スターシアさんに見せてあげたいね。そのドレスも
良く似合っている。南部の見立てかな?(ミオが頷く)さすがだな。そのうち
晶子もくるよ。」
藤堂はまだミオと一緒に居たかったが誰かが藤堂に声を掛けてしまったので中央へ行ってしまった。
「おじいちゃん、忙しのね。」
後ろに立っている南部に言うと
「そりゃ地球防衛軍のボスですからね。」(南部)
「ボスだなんて…ふふふ、そうよね、ボス、よね。」
ミオは藤堂を見て笑ったが一瞬その笑顔が凍った。南部はその表情を見逃さなかった。
「どうした?」
いつになく厳しい声で南部が聞く
「いるの…私の助手が…どうしてかしら」
ミオの視線の先には南部の知る男がいた。
「揚羽…」(南部)
「なぜ知っているの?」(ミオ)
「うちのライバル会社だよ。最近業績を上げて来てて軍の仕事を引き受けるのが
増えてる所だ。」(南部)
「じゃぁ…」(ミオ)
「ミオの研究が揚羽財閥にプラスになってる事あるかもしれないな。」(南部)
揚羽はミオに気付き視線を合わせたままミオの所へ来た。
「森さん、こんな所で偶然ですね。」
そう言うと南部を見て敬礼しながら
「南部さん、今日はまたステキなパートナーとご一緒で…」
南部も敬礼で返す
「父が呼んでおりますので…失礼します。」
揚羽は挨拶だけすると父親の元へ行ってしまった。
「そうか…そう言えば揚羽の長男が訓練学校で艦載機のパイロットになったと
聞いた事がある。すごい優秀だと聞いたが…親が戦闘班に配属されるなら
親子の縁を切ると大騒ぎして…それからどうなったか知らなかったが…
そうか、そっち方面に進んだのか…いずれは家業を継ぐつもりで今から軍内部
に繋がりを持たせるために科学局に残ってるのか…」
南部は鋭い視線で揚羽を見た
(ミオを利用するつもりか?)
ミオは仕事で南部と一緒になったことがなかったので戦闘モード全開の南部を見て声を掛けられなかった。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 4 作家名:kei