二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

コンビニ店員の俺と本田さんと各国の人々。1~21まとめ

INDEX|28ページ/42ページ|

次のページ前のページ
 

玩具のエアガンとは言え、ミリタリーマニアが凝りに凝りまくった本格仕様のマシンガン(ムキムキさんが感心していた)はズシリと重い上に、威力もバカにならないものらしい。一応、始めるにあたり、ゲームの基本的な説明は受けたが、何と恐ろしいところに俺は来てしまったのだ。
「…俺、帰っていいですか?」
「馬鹿言え。今更、帰れると思うのか?」
真顔で返され、俺は言葉も無い。
「…言ってみただけです」
とんでもないことに巻き込まれたもんだ。俺は溜息を吐く。その傍らでムキムキさんは装備の点検に余念がない。
「…兄さん、そろそろ行くか」
準備を終えたらしいムキムキさんがうさぎさんに声をかける。
「おし!じゃあ、行くか。…フハハハ、血が滾るぜ!」
「…滾るのは結構だが、程々に頼む。…なるべく、早く終わらせる。リツ、持ちこたえてくれ」
「ヤー!」
それに敬礼で返すと、二人はザクザクと森の奥へと消えていった。それを見送り、俺は息を吐く。…日没まで俺は持ちこたえられるんだろうか…。





 さて、この戦争の場となった場所なのだが、ひょうたんを半分に切って水平にし、横から見たような形を思い浮かべて欲しい。小高い山が2つ。西と東に分けて、ひょうたんの小さい東側がうさぎさん陣営、広い西側がハンバーガー君陣営だ。地理的に範囲の狭い東側が攻められると不利なんだが、うさぎさんに言わせるとハンバーガー君に対するハンデなんだそうな。…ってか、負ける気がまったくないらしい。

 そういや、独軍って陸軍強かったけ…。ハンバーガー君とこも相当強いんじゃないですかと訊いたら、本当の戦争じゃ物量で負けるが、同条件なら負けないとうさぎさん返事が返って来た。
「凄い自信ですね」
そう言えば、フンっとうさぎさんは鼻で笑った。
「伊達に長いこと軍国、やってきてねぇよ。親父は戦略立てるのも巧かったしな」
実にうさぎさんは生き生きとしていた。そして、そんなうさぎさんを見て、ムキムキさんも口では窘めるようなことを言いつつ、楽しそうだった。

 そんなことを思い出しつつ、即席でムキムキさんが作ってくれた塹壕に俺は腹ばいになり身を潜め、形だけにマシンガンを構えているうちに日が徐々に登ってきた。二人が出ていって、随分と時間が経った気がする。
(…正午くらいかな?…腹減った)
そんなことをぼんやり思っていると、パパパパっと銃声が響いた。それと同時に、鳥がギャアギャア叫びつつ飛び立つのに身を竦める。…敵が近くにいるのか?銃声の聞こえた方向へ視線を向けるが、気配はない。
(…大丈夫かな?)
まあ、あの二人じゃヤラれそうにもないけど。気を引き締めつつ、ジリジリしていると二度目の銃声が響いた。

「ケッセセセセッ!!」

今度は鳥の声ではなく、けたたましいうさぎさんの哄笑が聞こえる。そんな笑ってたら、敵に見つかるんじゃ…気を揉んでいると、携帯していた無線にノイズが入った。

『…律君、聞こえますか?応答願います』

本田さんの声が入る。俺は無線を手に取った。
「律です。どうかしましたか?」
『アルフレッドさん側の陣営が戦闘不能になった為、ゲーム終了です。中間地点まで戻ってきてください』
「え?…もう終わったんですか?」
『あのふたりにこういうゲリラ戦が通用する訳ないのに、乗るほうが悪いんですよ』
苦笑混じりに本田さんが言う。俺は通信を切って、中間地点に戻るべく、山を下った。





 中間地点に戻るとぐったりと疲れた顔をした髭さんと苛立たしげに太い眉を寄せた眉毛さん、不貞腐れた顔をしたハンバーガー君が居た。
「ケセセセセ!!羊羹の恨み、思い知ったか!!」
「…うーっ!」
哄笑するうさぎさんをハンバーガー君は睨むが、ぐうの音も出ないようだ。その横で髭さんが文句を垂れる。
「だから、嫌だって言ったじゃない!もう、泥だらけになるわ、痛いわ、最悪よ!!」
…髭さんの口調が被害妄想入ったオカ…、……オネェ口調だ。相当、お疲れらしい。
「…馬鹿が。先走るからいいように狙撃されんだ。その頭は飾りか?少しは考えて行動しろよな」
「うるさいんだぞ!君こそ、俺の命令無視して勝手に行動するからこんなことになったんじゃないか!!」
眉毛さんの悪態にカチンと来たハンバーガー君が反論する。…ハンバーガー君陣営の敗因が読めてきた気がするな。
「…どんな作戦を取ったんですか?」
眉毛さんとハンバーガ君の言い争いに眉間に皺を寄せて溜息を吐いたムキムキさんに俺は訊ねた。
「兄さんを囮にまずはフランシスを迎撃。それに飛び出してきた、アルフレッドを兄さんが狙撃。陣営に残っていたアーサーを挟み撃ちで確保した」
簡潔な応えが返って来た。なんつーか、コンビネーションがモノを言う的な展開だったのだろう。ハンバーガー君にそれを求めるのは無理な気がする。

「ハイハイ、皆さん、撤収しますよ!忘れ物はないですね?」

本田さんの撤収の掛け声で実にあっさりとサバイバルゲームは波乱の「は」の字もなく終了した。うさぎさんはハンバーガー君に羊羹を弁償してもらいご機嫌だった。その後、負けたのが余程悔しかったらしいハンバーガー君はうさぎさんに再戦を挑んでは返り討ちにされているらしい。


 食い物の恨みは怖いというお話。