続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 5
「ここは…実家があった場所…」(守)
「進くんがこの家を建てました。進くんは寮に入っていたのでここを別荘にして
クルーや私達夫婦がいつでも使えるように建てたものだそうです。
あの若さで建てたのにすでに支払いは済んでいました。本当にしっかりした
子でした。サーシァを預かるにあたって急に大きな娘が出入りするとよか
らぬうわさが立つかもしれないと軍が私たちに貸してくれました。」
門を入って玄関を抜ける…
「立派な…」(守)
「どうぞ、上がってください…なんて私たちが言うのも変ですが…階段を上
がって…そちらの奥の部屋を…サーシァとミオがご案内します。(二人を見て)
さぁどうぞ…私たちは下でお待ちしておりますのでごゆっくり…サーシァ、
ミオ、頼むね。」
父はそう言って4人を送り出すと母と一緒にリビングに入ってしまった
4人は静かに階段を上り進とユキの部屋に入った。スターシアは英雄の丘でユキとテレサの意識を感じたがここは進とユキの二人の鼓動を感じた
「あ…ユキさん…」
部屋に入るなりスターシアが宙を見てつぶやいた。スターシアは両手を上に挙げて何かを感じている。
「ありがとう…もう、充分です。」
スターシアは両手を胸で交差させて涙を流していた
「スターシア…」(守)
「ユキさんが私を包んでくれました。」
スターシアはそれだけを言うとそっと涙を拭いた。
「私たちをずっと見守ってくれてたの。」(サーシァ)
「そう…お母様のように…」(ミオ)
守とスターシアは感謝の気持ちでいっぱいになった。
「それよりお母様、たくさん人がいるでしょう?大丈夫?」(サーシァ)
「えぇ…すごいわね。まだ…若い星なのね、地球は…大地から、海、人からの
エネルギーが溢れんばかり…」(スターシア)
「この星に救いの手を差し伸べたのは君だよ、スターシア。本当にありがとう
君がいてくれたから…妹のサーシァの勇気が地球を救って弟とユキさんを
巡り合わせてくれた。君に感謝だけじゃ足りないな。」
守の言葉ににっこりほほ笑むスターシアは少し年を取っていたが美しかった
「ねぇお母様、聞いて。私ね…」(ミオ)
4人はいつまでも進とユキの部屋で話していた。
「今日は一日あのお部屋で過ごすのかしら?4人には狭いわ。」
ユキの母がお茶を飲みながら父に話しかけた。そう言いながらも母はにこやかだ。
「あの二人は地球に住む気はないのだろうか?」
父はコーヒーを飲みながらつぶやいた。
「進くんは守さんとご両親のお金をしっかり取ってあるんだよね。まぁここを
建てる時少し使ったみたいだけど…。進くんの退職金もあるし…。」(父)
「そうね…もし地球に来られるならそれをお渡ししたいしそうでなければ
あの子たちに渡したいのよね。」(母)
古代家の財産は政府の意向で特別に森夫妻に託されていた。
やがて日が暮れて来たので母が食事を4人のいる部屋に運んだ。
「狭いですけど…こちらの方がよろしいかしら?と思って…」
後ろにはアナライザーがあらゆる電気をつけて食事を運んできた。
「え?もうそんな時間?」(サーシァ)
「そうよ、お腹が気にならないほど夢中でお話していたのね。水を差すようで
申し訳ないけど…何年もの積もる話があるでしょうから…」(母)
「私ハ寂シイケド…今回ハ守サントすたーしあサンニ二人ヲオ貸シシマス。」
アナライザーがそう言うと
「うふふ、アナライザーはこれからも一緒でしょ?我慢してね。」(サーシア)
「アナライザーは…全く…」
父がテーブルを運んで来てくれた。アナライザーはそのテーブルにお皿を並べてもう一度サーシァとミオを見ると赤いライトを点滅させて出て行った。みんなはそんな姿が面白くて笑って見送った
「スターシアさんのお口に合えばいいんですが…どうぞ。」(母)
「お母様、お母さんのお料理とってもおいしいのよ。いただきましょう?」(ミオ)
家族水入らずの様子を見て母は“そう言ってくれるとうれしわ。”と言って扉を閉めた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト ミオ編 5 作家名:kei