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【カイリン】愚か者め、嘆くが良いわ

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「会いに行かないの?」

テントの外でカイトに聞かれ、リンは黙って首を振る。

「どうして?」
「・・・・・・どうせ、あたしは機械だから」

リンは俯き、絞り出すように言った。

「あたしは、機械だから。また欲しくなったら、新しい「リン」を買えばいいんだ。必要なのは、あたしじゃない。代わりは、幾らでもいる」

マスターに必要なのはレンだけで、自分ではないのだ。今更会いに行ったところで、どうなるものでもない。

「いらなくなったから、捨てられた?」
「そうだよ! だから」

リンがキッと顔を上げると、カイトの悲しげな瞳とぶつかった。今まで見たことのない悲しげで暗い表情に、リンは言葉を失う。

「・・・・・・代わりにならないことだって、あるよ」

カイトはふいっと顔を逸らし、「ゆっくり考えて」と言い残して、スラッグのテントに戻っていった。



カイトは、スラッグが小型端末をいじくり回している背後に立ち、

「で?」
「リンは何て? 会いに行くって?」
「誰が徹夜してたって?」

スラッグは首だけ回して、カイトを見上げる。

「やだ、起きてたのは本当。メール読んでたの」
「誰から?」

スラッグは、首を戻して端末に視線を落とした。

「時の流れと運命によって疲弊はすれど、意志は今も強固だ」
「はあ?」
「まだ三年、ですよ。たった三年で、私にたどり着いた。生半可な覚悟では出来ないでしょう」

その言葉に、カイトは小さく声を上げる。

「・・・・・・じゃあ、向こうから?」
「たったの三年ですよ? 力もコネもない女性が、どれだけの犠牲を払ったのでしょうね?」
「・・・・・・リンは、捨てられたと思ってる」
「別に誤解ではないでしょ。実際捨てたんだし。どれだけ悔いようと、その事実は消えません。リンの気持ちも分かります」
「君がそうだから?」

スラッグは、再び首だけ向けて微笑んだ。

「さあ? もう忘れてしまいました」