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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 17

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 互いにせめぎ合い、剣と剣がぶつかり合い、二人は鍔迫り合いとなった。ギチギチと、金属が擦れ合う耳障りな音が、辺りに響きわたる。
「ふふ……、なかなかやるではないか、センチネル。だが、まだまだ我には及ばぬ。少し本気を見せてやるとしよう……!」
「何っ!?」
 刃を放すと、デュラハンの姿は一瞬にして消えた。どこから攻撃が来てもいいように、センチネルは身構えた。しかし。
「……こっちだ」
 デュラハンはセンチネルの背後におり、刃を彼の首筋に当てていた。
 センチネルは、まだ大きい戦力差に圧倒され、動けなくなっていた。
「どうした、先ほどまでの威勢がないぞ? 我を常闇へ消し去るのではなかったのか?」
 センチネルは、自らの首にあてがわれた刃を回転しながら打ち払い、後退して間合いをとる。
「……逃げるようでは、我に傷一つも付けることもかなわぬな」
 センチネルは驚愕し、動きを完全に止めた。二度目である。背後をいとも簡単に取られたのは。
 デュラハンがその気になれば、その二回とも、首をはねることができた。
「……クッ!……」
 センチネルは、そのまま前へと高速で移動した。
「……あの野郎……!」
 シンは空中からマーズ灯台の上へ戻ってきた。先ほどまでのセンチネルとの戦いで体はぼろぼろである。空中移動を可能にしていたエナジーは切れ、地に足を付くと、シンはそのまま崩れ落ちた。
「シン、大丈夫か!?」
 シレーネから受けた拘束からようやく解けたガルシアが、しゃがみ込み、シンに肩をかした。
「……とても元気とは言えたもんじゃないな、クッ! いててて……」
 シンを回復しようにも、メアリィもピカードもエナジーをロビン達を回復させるために使い切り、イリスは再生させる力どころか、全ての力を使い果たし、デュラハンによって瀕死になっていた。
『キュアベスト』
 回復するエナジーとしては、心許ないものだったが、ガルシアの発する黄色の輝きは、シンの浅い傷ならばふさぐことができた。
「少しでもマシになればよいのだが……」
「ああ、ちょっと楽になったぜ。……ほんの少しだけな……。それよりも……」
 シンはまだ痛む体に顔をしかめながら、デュラハンとセンチネルの戦いを見やる。
「……奴が何故デュラハンと戦っているのかは知らねえが、オレをここまで痛めつけた奴が、大人と子供の勝負だ……。デュラハンはとんでもなくヤバい……」
 シンの目だけは、センチネル達の速さについて行けた。
 センチネルが攻めようとすれば、先読みしているとしか思えないほどに、デュラハンは攻撃を避けるばかりか、センチネルの背後を取っている。
 何故あの神速の動きを読めるのか、シンは未発達ながらも自らが持つ力、力通眼によって分かった。
 センチネルが動こうとするとき、甲冑が重いのか、予備動作が生じてしまっている。それをデュラハンが見切る事で、先読みを可能としていた。
 予備動作は、常人には見えないほどに小さく、瞬間的な動きであるが、落ち着いて見ると、まるで重い金鎚を勢いを付けて振り上げるような、そのような動きが見えた。
 センチネルはついにデュラハンから、一撃をもらってしまった。
「くそ……!」
 デュラハンの剣は硬そうなセンチネルの甲冑をいとも簡単に切り裂き、肉をも断った。胸からの出血により、センチネルの甲冑に鮮血が流れる。
「おっと、我としたことが、危うく殺すところであった」
「……何故貴様に刃を向ける手下を殺そうとしない……? 俺はいずれ貴様の枷を砕き、必ず貴様を討つぞ……」
「貴様には、まだまだやってもらうことがあるのだ。それにその強さ、我が願望成就までにかなりの利用価値があると見ている。我に怨恨のある貴様は自ら死を選ぶこともなかろう? 故にその命、しばらく利用させてもらおう。ふははは……!」
 デュラハンの高笑いが響く中、センチネルは静かに、怒りに打ち振る得ていた。右手を握り、振るわせている。すると、ガントレットに変化が起きた。
 センチネルには、デュラハンに付けられた鉄仮面のように、両手のガントレットには宝玉のような物が埋め込まれている。それがガラス玉の様に、突然砕け散ったのである。
「ぬう? 貴様の右手の枷……、何故砕けたのだ?」
 デュラハンは高笑いを止め、自らが付けたセンチネルのガントレットが壊れた事を訝しんだ。
「……どうやら、神の作りし剣の力の前には、貴様の禍々しい枷も、意味をなさん様だな……」
 センチネルはソルブレードを右手に持ち替えた。すると、どす黒い刀身に、鮮血のような色のエネルギーが溢れる暗黒剣と化したソルブレードが、徐々に姿を変え、ついには元の姿へ戻った。
 ソルブレードが元通りになっても、センチネルが剣に拒絶されることはなかった。
「ほう……、剣は人の心を映すとは、よく言ったものだ……。尤も、俺はもう人ではないがな……」
 センチネルは、元の白金色に輝き、眩しく光るエネルギーを切っ先から放出するようになったソルブレードを、デュラハンへと向けた。
「ぐうう……」
 首のないデュラハンでも眩しさは
感じられるのか、ソルブレードの放つ聖なる輝きを、恨めしそうに半身をひねる。
「……ロビン以外にソルブレードを扱えるなんて……。もしや、あなたは……?」
 イリスは地に横たわったまま、センチネルが剣に拒まれない様子を見ていた。
 センチネルからは、デュラハンほどではないにしろ、暗黒の力が満ち溢れている。そのような者が、何故ソルブレードを持つことができるのか。
 考えた末たどり着いた答えは、まだ憶測にすぎないが、一つ浮かんだ。
「元は天界の……、ぐっ!」
 イリスの言葉は、デュラハンから受けた腹への蹴りに阻まれた。
「黙っていろ!」
 イリスは鳩尾に蹴りを受け、そのまま気を失ってしまった。
「どうしたデュラハン? 随分と余裕がなくなっているようだが……?」
 今度はセンチネルが嘲り笑った。同時に右腰に差した剣を抜き、左手にも剣を持った。
「……それも仕方のないことか、貴様はまもなく俺によって消されるのだからな」
 神剣、ソルブレードを右手に、これまで使ってきた魔剣、カタストロフを左手に持ち、センチネルは右半身に構える。
「覚悟しろ、デュラハン……!」
 センチネルがデュラハンに攻めかかろうとすると、デュラハンは徐に彼に手を向けた。同時にデュラハンの手から、赤黒い不気味な光が放たれた。
 センチネルの鉄仮面の宝玉が光に呼応すると、センチネルはその場に崩れた。
「がああああ……!」
 両手に持った二本の剣をその場に落とし、センチネルは頭を抱えて悶え始めた。鉄仮面の宝玉が怪しく光った瞬間、耐え難い苦痛が彼を襲ったのである。
 視界はぐるぐると回る様に歪み、まるで脳を直に掴まれているかのような、激しい頭痛が起こった。戦うことは愚か、立っていることさえもできない。
「まさか貴様にこれを使う時が来ようとはな……」
 デュラハンの左手はまだ、怪しい光を放ち続けている。
「……クッ! ……デュラハン、貴様……。俺に、何をした……?」
 あまりの痛み、苦しみに、息を絶え絶えにしながらセンチネルは言った。