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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 17

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 ガルシアは口を尖らせ、文句を言いながら後頭部を掻いた。再生前は炎で焼けて縮れてしまっていたが、今は真っ直ぐな、シンにも匹敵するような髪になっている。
「そうよね……、私ったら兄さんが助けてくれたのに、兄さんを変態扱いしちゃって……。本当にごめんなさい!」
 ジャスミンはしおらしく謝る。
「もういい、助けようとして勝手に死にかけたのは、俺の方だ。お互い無事だったんだからこの話はもう……」
「……えいっ! 隙あり!」
 ガルシアの頬に、柔らかく、暖かい物が触れた。
 ガルシアは自らに何が起きたのか、理解できない様子で目を白黒させている。
「やっぱり、兄さんへの今できる最高のお礼はこれしかなくて。恥ずかしいけど……!」
 ガルシアは全て理解した。子供の頃、ジャスミンがよくやっていた頬へのキスをされたのだ。驚かすつもりが逆に驚かされてしまったのだ。
「じっ、ジャスミン……!」
 ガルシアは子供の頃よくあった事を、今再びされ、慌てて赤面する。
「ジャスミン……、大胆と言いましょうか、なんと言いましょう……」
 イリスも言葉が浮かばずにいた。
「禁断の愛ってやつかしら……」
「ジャスミン、いけませんよ! 兄妹で……そんな……」
 シバは、どこでそのような言葉を覚えたのか、いかがわしい物言いをし、メアリィは見ているだけで恥ずかしくなり、語尾がだいぶ小さくなった。
「お前ら、確かに仲の良い兄妹だと思っていたが、まさかそこまで……」
 ロビンは、二人の仲は兄妹以上であるのか、と邪推する。
 仲間達に色々言われる内に、仕掛けたジャスミンの方がだんだん恥ずかしくなってきた。
「ちっ、違うわよ! これは兄さんへのお礼! 命を助けられたんだから、これくらい……!」
 ジャスミンは慌てて弁解したが、彼女が慌てるほどに仲間達は、よからぬ事を邪推した。
「……その……、私にだって……、好きな人は、いるんだから……」
 ジャスミンは真っ赤になった顔を俯かせ、呟いた。果たして仲間達の誰がこの小さな呟きを耳にしたのであろうか。
「どうしたジャスミン、顔が林檎みたいだぞ」
 からかうように言うのは、シンであった。
「……何でもない……」
「えぇ? 何だって?」
 シンは更に追い打ちをかける。
「何でもないって言ってるでしょ!」
 ジャスミンが叫んだ瞬間、その声に呼応するかのように、ジャスミンの周りに炎が渦巻いた。
 炎はすぐさま巨大化し、彼女の近くに寄っていたシンをも包み込みかけた。
「おわっ!?」
「まさか、また暴走を!?」
 シンは飛び退いて炎をかわしていた。
「シン! お前が焚きつけるような真似をするから……!」
 ガルシアの言うよう、文字通り、シンが焚きつけたが故、再発した事態であった。
 しかし、今回は、球体に広がる炎の中心で、ジャスミンの悲鳴が響くことはない。むしろジャスミンの顔は驚きに包まれており、この炎が自らの放ったものであると、信じられない様子であった。
「何、この溢れそうなくらいに湧き上がってくる力……?」
 ジャスミンは炎の中心で、自身の両手を見つめていた。
ーーあれは……!?ーー
 そんな彼女の様子に、シンはいち早く気づき、遠目から観察した。そして大声で叫ぶ。
「ジャスミン! 炎を、炎を消すんだ! 今のお前なら自在に操れるはずだ!」
 炎に巻き込まれぬよう、シンは仲間達下がらせた。
 分かったわ、とジャスミンは返事をすると、目を閉じた。
ーー炎よ、収まれ……!ーー
 ジャスミンが心で念じると、大きく広がった炎が、急激に終息していった。ジャスミンの思い次第で変化する炎は、まるで彼女のエナジーのようなものであった。
 炎は、広がるのも早ければ、収まるのもすぐだった。炎が消えたことによって、仲間達はジャスミンへと近付くことができた。
「やっぱり、そうだったか……」
 元凶とも言えるシンは、一人、何か悟ったように言う。
「何がやっぱりよ! またジャスミンが危ないところだったじゃない!?」
 シバが怒りを露わに、シンに大声を上げた。しかし、シンはその叫びを、まるで隙間風が吹く音であるかのように無視し、ジャスミンに歩み寄った。
「ジャスミン、今の炎。お前の意志で止められただろ?」
「ええ……。消えて、って思ったら、その通りになったわ……」
 発動した時は咄嗟のことだったが、終息させるのはジャスミンの意志通りに行うことができた。
 逆に、再びあの大火を起こそうとするならば、その気になれば簡単なことであった。これはまるで炎を自在に操る力である。
「もしかして……!?」
 ジャスミンは大火を起こすことも、鎮めることもできる事から、自らも気が付いた。
「たぶん、オレと同じ事を考えているだろ? それは大体正解だ。お前の炎は、『プロミネンス』だ」
 ジャスミンは頷いた。
「私も、シンに言われる内に分かったの。でも、ここまで大きな力は、今まで感じたことがないわ……」
 あれが炎を自在に操るエナジー、『プロミネンス』だという事は、ジャスミンにも分かった。しかし何故、最初に出たときには抑えが効かなかったのか。どうしてこれほどまでに大きいのか、またどうして今になって操れるようになったのか。
 様々な疑問がジャスミンに浮かんだ。
「それは、このマーズ灯台が灯ったからでしょう」
 イリスは全て悟っているように言う。
「マーズ灯台が灯った? そう言えば、確かに火のエレメンタルがつよまったのが、そこら中に感じられますね。僕のエナジーがかなり抑え込まれているのを感じますよ」
 火のエレメンタルを司る、マーズ灯台が灯ったとあれば、全く逆の水のエレメンタルに属すピカードのエナジーが弱まるのは必然であった。
 同時にメアリィも、彼と同じ状態だと訴える。
 先ほど感じた巨大な揺れ。直後に起こった火のエナジスト達の異変、更に水のエナジスト達のエナジー低下。これらをもって、ロビンの考えは確固たるものとなった。
 しかし、そうなれば疑問が一つ残る。一体何者がマーズ灯台を灯したのか、である。
 一月も前にここへ赴き、その後何者かにドラゴンにされ、そして消えたカースト達には不可能である。もしや、まだ仲間がいたのかもしれない。しかし、そうだとしても一月もその者は何をしていたのか。ロビンの疑問は増すばかりだった。
「なるほどな、ジャスミンの『プロミネンス』は灯台の力によってその全てが出たのか。灯台の力があまりにも強いもんだから、最初は暴走しちまったんだ。けど、もともとジャスミンの力だから、時間差で体が適応したんだな」
 ロビンの疑問は深まる中で、ジャスミンの力については、シンが氷解させた。
「どうしてそこまで分かるの?」
 まるで同じ力を持っているかのように説明するシンに、ジャスミンは驚いていた。
「力を見通す眼、力通眼といいましたか。シンの姉、ヒナが持っていた能力ですね。まさか姉弟そろって使えるとは、驚きましたね……」
「驚いた、なんて言いながら落ち着いてるじゃねえか。まあ、姉貴やオレの妹だったお前なら知らないはずはないよな」
 イリスとシンの話を聞いていて、驚いていたのは、むしろロビンだった。