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凛ちゃん女体化したら争奪戦になった

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まこちゃんの好きなもの(真凛)



休日。
真琴は道で会った顔なじみの猫の頭をなでていた。タレ眼の目尻がいっそう下がっている。
「……また猫を可愛がってんのか」
凛の声がした。
偶然、通りかかったようだ。
真琴は自分の近くに立っている凜を見あげる。
凛はボーイッシュな格好をしてる。真琴に向けた顔には、小学生のころとは違って、愛想がない。
それでも真琴はふわりと笑った。
「凛は猫みたいだね」
「はぁ?」
凛の形良い眉が寄せられた。
「自分勝手だってことかよ?」
「そうじゃないよ」
優しい声で真琴は否定し、凛を見あげたまま続ける。
「可愛いってことだよ」
「はぁ!?」
凛は声を大きくした。
すると、その声にびっくりしたらしく猫が去っていった。
それに気づいて凛は表情を変えた。猫が去っていったほうに、申し訳なさそうな顔を向けている。
真琴はその凛の様子を見てクスッと笑う。
ふたたび凛が真琴を見た。
「おまえ、だれにでもそんなこと言ってんだろ。タチ悪ィな」
整った顔を、惜しげもなく、しかめっ面にしている。
真琴は立ちあがった。
「凛はおばあさんの家に来てるの?」
「ああ。江もな」
「おばあさんの家に帰るところ?」
「いや、ちょっと買い物に行くつもりだ」
「じゃあ、つき合うよ。俺、重い物を持つの得意だし」
「いらねぇよ。自分で持てる」
そんなやりとりをしつつ、ふたり肩を並べて歩きだす。
だれにでもあんなこと言ってるわけじゃないけど。
真琴は思う。
凛だから言ったんだけど。
でも、凛にそれを言ったら、また顔を真っ赤にして怒るんだろうな。
その様子を想像したりしながら真琴は凛の横を歩いた。