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こらぼでほすと 秘密2

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 そんなもんじゃないだろう、と、ニールは考えている。そうでないなら、トダカーズラブは、もっと人数が減っていてもおかしくない。何かしら、トダカがオーヴに対して動いているから、今だに親衛隊も活動しているのだろう。じじいーず筆頭のトダカともなると、活動自体を上手に隠蔽しているから、何も見えないだけだ。



 それより少し前に遡るが、「吉祥富貴」のラボへ、夕刻前にティエリアが到着した。キュリオスリペアは、それ以前に大気圏降下を果たして、すでにラボに格納されている。
「いらっしゃい、ティエリア。」
 出迎えたのは、キラとアスランだ。アレルヤたちは、まだキュリオスリペアの最終整備をしているところでコクピットから離れていない。時間が限られているから、さくさくとラボの整備主任たちと打ち合わせ中だ。
「邪魔をするぞ、キラ、アスラン。」
「いらっしゃい、ティエリア。とりあえず、打ち合わせだけはさせてもらうよ? アレルヤたちのほうが終わるまで、ちょっとお茶でも飲んでて。」
「いや、それなら俺も手伝うぞ。今日中に、オーヴへ移動したいんだ。」
「それはわかってる。ここから、オーヴなら二時間だ。」
「いや、最悪は最終便だが、なるべく早い便で移動したい。」
「だから、ここから僕らのMSに同乗していけば無問題。ちょうど、僕らもファクトリーの仕事でオーヴへ移動するんだ。ルージュを貸してあげる。あれ、ファクトリーで整備予定だから。」
 ティエリアとアレハレは、普通の飛行機で移動するつもりで予定を建てていた。民間機だと、三時間はかかるし、そこからの移動やら何やらを考えれば半日仕事になる。今から最終便に乗っても到着するのは真夜中の予定だから、なるべく早い便に乗ろうと思っていたのだ。
「きみたちは、オーヴから、また旅行に出る予定なんだろ? だから、きみらが出発したら、俺たちがママニールのご機嫌伺いに行くつもりだったんだ。」
 シンとリジェネも同行しているから、それほど心配はしていないが、それでも子猫たちが現れて、また出かけてしまうと寂しいと思うだろうから、その落ち込みはキラという天然電波で解消させるつもりだと、アスランは苦笑する。
「また落ち込んでるのか? あの人は。」
「いいや、カガリが乱入しているし観光を楽しんでいるみたいだから落ち込んでない。ティエリアたちが出発してからのことだよ。」
 シンからメールで報告は受けている。元気にしているから問題はないとのことだ。
「だから、アレルヤたちが整備を終わってからミーティング。とりあえず、蓄電池の性能とかキュリオスリペアの取り説のデータをちょうだい、ティエリア。」
「汎用部分だけになるが? 」
「それでいいよ。僕らで動かしておくのに必要なデータだけが欲しいんだ。ずっと寝かせておくわけにも行かないからね。」
 エクシアは、機体の金属疲労も酷かったので眠ったままで預かっていたが、今回は、何かのミッションがあれば、ここで整備して発進させることになる。そのためには稼動はさせて不備がないかの確認はしなければならない。そのためのデータをキラも要求している。そこいらの打ち合わせはティエリアだけでもいいから、そこから始めることにした。実際の稼動についての注意点なんかは、キュリオスリペアのパイロットであるアレハレから聞き出せばいい。
「それなら、ここにある。データを投影させて、ざっと説明だけさせてもらおう。」
「じゃあ、ラボでお茶飲みながらにしようか? アスラン。」
「そうだな。それはサーバーに記憶させたほうが早い。」
 別荘のシステムは、さほど高性能ではないので、説明してもらうならラボでやったほうがいい、と、案内する。
「使うことがないほうが望ましいんだが、まだ世界は安定していない。」
「まあね。でも、以前の連邦創生よりは穏便に推移していると思うよ。三大大国は動きが鈍いから、他の国が動いている。今回は、ヴェーダからの余計な介入がないのも助かってるよ。」
 以前の連邦創生にはリボンズが、かなり画策をしてアローズを生み出した。ああいう余計な茶々がないから、今回はスムーズに進んでいるほうだ。まあ、多少の軋轢はあるが、それは国同士で折り合いをつけていただけばいい。
「ティエリア、ロックオンの機体は五月後半になるのか? 」
「ああ、その予定だ。あれは変形しないし、エクシアのデータに近いから、こちらに蓄積があるだろ? ロックオンにデータは運ばせるつもりだが、キュリオスよりは簡単だ。・・・・ただし、」
 立ち止ってティエリアが、アスランとキラを、そこで睨む。ひとつだけ、デュナメスリペアには特大の注意点がある。
「ニールに、絶対に機体を見せないでくれ。」
 ニールにとってデュナメスは相棒だった機体だ。あれを見て泣いたニールが壊れそうで、ティエリアは怖かった。だから、それだけは守ってもらわなければならない。キラとアスランは、ティエリアの注意事項に苦笑して頷いた。
「もちろんだ。ママニールは、基本、ラボの出入りは禁止してある。万が一、入ることがあっても隠すように手配するつもりだ。」
「刹那も、それは言ってたから安心して、ティエリア。僕らもママを泣かせるなんてしたくない。」
 細胞異常が完治したといっても、まだ体調は万全ではないし、人外組から、ニールにはラボの仕事はさせないで欲しい、と、要望も入っている。今後、ニールはラボには出入りさせないつもりで、キラたちも考えているから、ティエリアからのリクエストは織り込み済みのことだ。
「それならいいんだ。・・・・あの人が、組織のことに関わるのだけは絶対に阻止したいと考えている。マイスター組だけでなく、これは、実働部隊全体の考えだ。」
「僕らも、そのつもりだよ。ママはお寺で、おやつを作ってくれるだけでいいんだ。」
 それは、組織だけではなく、『吉祥富貴』でも決定事項だ。軽く壊れているので刺激したくないのは、どちらも考えている。
「それならば、問題はない。では、説明させてもらおう。」
「そうだね。」
「晩御飯には間に合わないだろうから、夜食の手配してくれるように、カガリに連絡しておく。」
 ミーティングも簡単には終わらない。どうしても深夜近くになるだろうから、アスランが、そこいらの手配はしておくことにした。まあ、ママニールは寝ているだろうから、朝には驚くことになるだろう。




 二時間ほど白熱した戦いをやって、カガリたちが戻ったら、おかんは畳で、すやすやと寝ていた。トダカに付き合っていて酔ったらしい。もちろん、軽いブランケットがかけられている。
「そうか、昼寝してなかったもんなあ。でも、とーさん、クスリは? 」
「まだなんだ。ちょっと飲んで、ふらふらと横になってしまってね。このまま寝かせてもいいんじゃないか? シン。」
 トダカは腰が悪いから、ニールを持ち上げるのは、ちよっと無理だ。シンが戻れば担いで移動させられるから、と、待っていたらしい。
「ダメだよ、トダカさん。ママのクスリは、きちんと飲ませないと。」
 最近、クスリ担当になっているリジェネは、そう言ってクスリを取りに走っている。そうだよなあ、と、シンもニールを抱き起こす。
「やっぱり、人妻は色気があるなあ。」
作品名:こらぼでほすと 秘密2 作家名:篠義