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こらぼでほすと 秘密6

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「だが、見知らぬ相手が、うちのおかんに言うのは不適切だ。トダカさんの言う通り、ニールに直接話しかけるなど光年単位で早い。」
「まあ、不埒な態度だったら、僕らが対応するけどね。軍人なんかには負けないから。」
 さらに、リジェネ、ティエリア、アレルヤもニールの傍に近寄ってきた。
「そうだな。アレルヤくん、ハレルヤくん、その男、投げ込んでくれ。」
 トダカが何気に命じて、オッケーとアレハレの声がダブルで聞こえた時には、ニールに話しかけた男は、ドボンと海に沈んでいた。浅瀬とはいえ、投げられたから沈むぐらいは飛んでいった。
「うおーアレハレ、すげぇーなあ。」
「みせしめにはなっただろう。娘さん、なんか言われたら無視していいからね。」
「大丈夫なんですか? トダカさんの関係者なんでしょ? 」
「いいんだ、いいんだ。油断しているから投げられるんだ。・・・おまえたちも、うちの子に不用意に話しかけるな。」
 ニールたちマイスターの素性は、オーヴでもキサカあたりしか正確なことは知らないので、あまり知り合われても困る。それもあるから接触するな、と、申し渡していた。
「申し訳ありません。・・・・準備したら下がります。」
 他のものは、いろいろと運んできて適当にセッティングすると慌てて戻って行った。トダカに不愉快になられたら、後が怖い。
「ねーさん、それ、俺が先に毒見する。」
 トロピカルカクテルをちゅーとシンか吸い上げた。確かに、アルコールは感じない。
「おいしいなら飲んでいいよ、シン。俺、甘いカクテルとか、あんま飲まないんだ。」
「じゃあ、僕が残りは飲む。」
「そうそう、うちの子に出すなら、こういうのだ。」
 運ばれて来た酒瓶やらジュース類やらを漁ってトダカがぺリエに果実を絞ったノンアルコールのカクテルを用意した。カクテルというほどではないが、酸味のある果実とピンクの果実を絞ったあっさりした飲み物だ。それを一口飲んで、「そうそう、俺は、こういうのが好きです。」 と、ニールも満足する。伊達に何年も、なんちゃって親子をやってるわけではない。どっちも、相手の好みは知っている。
「トダカさん、俺も、これが飲みたい。」
「ああ、わかった。」
 現職バーテンダーなトダカには、お茶の子さいさいだ。ティエリアにも用意してやる。
「ぺリエは、これで終わりか。・・・まあ、炭酸水があるから作れるな。」
 酒はふんだんに用意されているが、ノンアルコールは少ない。トダカの好みのものとなると、どうしても、そういう品揃えになるらしい。
「ほんと、アイドルなんだな? とーさん。・・・ほら、あっちから双眼鏡で覗いてるぜ? 」
 シンの視力だと、百メーター先で双眼鏡やらオペラグラスで、こちらを伺っているのも見えている。
「昔から、ミーハーなのは、あんなことばかりしているんだ。気にしなくていい。」
 ビーチチェアは人数分、日陰に設置されている。これだけの装備となれば、そりゃ上陸艇が必要だろうという感じだ。
「キサカさんが戻って欲しいって言うのが、なんとなく解りましたよ。これだけ慕われてるなら。」
 キサカが再三、復帰して欲しいと頼むのも、これを見ていれば納得だ。先代のウヅミほどではないにしろ、かなりカリスマ性はある。トダカーズラブだけじゃないから、キサカもカガリのブレーンとしてトダカが欲しいのだろう。
「年寄りをこき使うなんて迷惑な話さ、娘さん。私は、のんびりバーテンダーでもやって好きな酒を呑んでるのが一番楽しい。」
「あはははは・・・そうでしょうね。俺も、トダカさんには近所に住んでて欲しいです。『助けて、お父さん。』コールが出せませんからね。」
「そうだろ? 私も娘さんの顔が、すぐ拝める距離がいいよ。きみは目を離すと、とんでもないことをするからね。」
 それもトダカの本音だ。天上人の組織は、まだ再々始動があるだろうし、『吉祥富貴』とオーヴの連携のためには、特区に居座る必要はあるが、ニールのことも気になるので動くつもりはない。
「ママ、もう食べないの? まだまだあるんだけど。」
 運ばれて来たものは大量にある。シンは、まだ、肉に齧りついているが、リジェネは満腹した。果物をちまちまと食べているところだ。
「俺は、もういい。アレルヤ、ハレルヤ、おまえらは、まだいけるだろ? ここの海産物は美味いから詰めとけ。」
「おう、海産物だけじゃなくて肉も美味いぜ? じじい。・・・なあ、トダカさん、俺らの写真とか撮られてる場合は、あっちのカメラは破壊してもいいのか? 」
「好きなだけ暴れてくればいい。シンもやっておいで。あいつらは懲りないから。」
「いやいやいやいや、お父さん? 怪我人が出ます。簡単に許可しないっっ。」
「でも、きみらの写真は問題があるだろ? ゴーゴー、ハレルヤくん。」
「はははは・・・じゃあ、楽しんでくる。」
 待て、と、止める前にハレルヤは走り出した。まあまあ、と、追い駆けようとしたニールはシンが止めた。
「ルール違反だからいいって。俺らの写真ってのも撮るのは禁止なんだ、ねーさん。まあ、流出する前にキラさんにデータの破壊は頼むけどさ。」
 片手でニールの腕を掴みつつ、シンは携帯端末でメールを打つ。トダカはいいが、それ以外は、あまり映像が残ったらマズイ面子だ。速やかに消去するのが望ましい。
「でも・・・」 と、ニールが言いかけたら、ぎゃあーという叫び声が響いた。百メーターの砂浜を十数秒で走りきり、ハレルヤはカメラやら録画装置のついている双眼鏡なんかを片っ端から破壊しているらしい。殴る蹴るの暴行ではなく、それらを持っている人間を海に投げ込んでいるので怪我人は出なさそうだ。
「うちの軍は弱体化が激しいな。ハレルヤくん一人を対処できないのか? 」
 暴れているのは一人。周囲には数十人の人間が居る。それでも乱暴は続いている。
「ハレルヤは一人で十人分くらいの働きしてるぜ? とーさん。あれは無理だろ。」
 ぼちゃんぼちゃんと派手に投げられているのを鑑賞していたら、空からジェットヘリが飛来した。軍用だが、トダカたちのほうに降りてきて砂浜に着地した。扉が開いて、飛び出たのは大明神様だ。
「やっほー、仕事が終わったから遊びに来たよーーー。」
 次に降りたのは、荷物一式を携えたアスランで、二人が降りると、ジェットヘリは飛び上がる。
「ママァーン、逢いたかったぁーん。」
「おう、キラ。お疲れさん。」
 ハグの挨拶を交わしているのを横目に、アスランは遠方の惨劇について、トダカに質問だ。
「トダカさん、あれは? 」
「うちのプライベートを盗撮したバカをお仕置きしてもらっているんだ。早かったね? アスラン君。」
 まあ、そういうことなら放置しておけばいいだろう、と、アスランも荷物を下ろして椅子に腰掛ける。
「キラが、ヘブンズビーチなら行きたい、と、本気で働いたので時間が短縮されました。」
「あははは・・・キラ様も、ここのことは知ってたんだね。」
「ええ、散歩してる時に立ち寄ったことがあります。」
 フリーダムとジャスティスで、遊覧していて見つけたらしい。そこで海水浴となれば、キラは参加したい。ということで、本気モードで仕事をこなして一日早く仕上げたらしい。
作品名:こらぼでほすと 秘密6 作家名:篠義