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流れ星

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  「疲れた…。」

進が朝出発した後母と待ち合わせをしてヨコハマヘ。ドレスを見るのは一カ所でなく3箇所も回った。現在地上は建設ラッシュ中。連邦市民は地上に出るのを夢見てまだ地下都市で暮らしているのだ。ユキの母は娘が地上で式を挙げるのを早く見てみたい、それが私の夢だ、と行く先々で言うのでユキはその度に心の中でため息をつく。

  (これじゃ母の為だけの結婚式になっちゃう…)

確かに進がご両親のために、って言ってくれたけどなんだか違う…ユキは夕飯を一緒に食べようと言った母にうなずくことができず寮に戻ってきてしまったのだった。

  (古代くんが聞いたら怒るかなぁ…それぐらい一緒にいてやれ、って言うかなぁ)

意味もなく涙が出そうになる。

  (私は古代くんと一緒にドレス選びたかったのに…)

ユキがそう言ったら

  「それは一度経験してるお母さんと行った方がいいんじゃないか?」

と、一言。

  「俺が(宇宙へ)行く日、午後空くんだからちょっと見てくれば?」

結局ユキはその場で母に連絡して一緒に行く約束をしたのだった。








  「どうした?」

出航して数時間過ぎて島が休憩時間に進に連絡を入れてきた。

  <ばか、休憩時間だから話し相手になってやろうと思ったのに。
   だって進くん、ユキちゃんと離れて寂しいかなぁ~と思って!>

島が両手を胸の前で組み“乙女”のような仕草をして進をからかう。

  「ばか!」
  <ばかはないだろう?せっかく二人きりにしてやったのに。本当だったら俺
   だってユキと話して見送ってほしかったんだからな!>


島が本当に悔しそうに言う。

  <行ってきます、のキスぐらいしてやったか?>(島)
  「…ば、」

進がばかと言う前に島が言葉を繋げる

  <お前が出発ロビーでキスできるほどの人間じゃない事ぐらいわかるけどよぉ、
   この先、2か月も離れ離れだろう?ユキの周りから男を遠ざけるためにも
   キスのひとつやふたつ、必要だと思うけど?>

本当に同期は遠慮がない。進は何も言えない。

  <ユキだって期待したと思うけどな。>(島)
  「そうなのか?見られたらイヤ、って思うんじゃないか?」(進)
  <んな長い時間くっついてるのはイヤがるかもしれないけどよ~。>

島がニヤニヤする。

  「…うっさい。」

進はさらに不機嫌になる。

  <ま、2か月は長いな。>

島が真顔になった。失恋したとはいえまだユキに気持ちが全くないわけではない。進の彼女といえ島にとってもユキは護るべき存在でいつも笑っていてほしい人だった。

  「そうだな。」

進が深くため息をつきながら言う。

  <メールは必ず入れてやれよ。ユキだって寂しいはずなんだから。お前と相原が
   一緒だろう?南部だって一足早く行っちまってるし…まぁ向こうは任期二週間
   の短い金星への出張だからな…。太田は先にタイタンへコスモナイト発掘隊と
   機材を積んで現地に向かってるから真田さんしかいなくなっちゃっうな。>
  「そうだな、みんなどこかしら飛んでるんだもんな。」

ヤマトのメインクルーだけでなく一般のクルーも即戦力として輸送船団、護衛艦、基地へと赴任して行った。

  「ヤマトに乗る事はもう、ないんだろうか?」

護衛艦の艦長のシートは座り心地が悪い。同じシートなのに…ヤマトの方が硬いような気がするのに…。

  <ヤマトが飛ばなければ安泰、ってことじゃないのか?真田さんから聞いたが
   今、戦艦を急ピッチで造っているらしい。軍もヤマトを基本にしてるらしい
   から今は動かせないんじゃないか?>

確かに駆逐艦も巡洋艦も数が少なく南部はただの移動だから、とふゆづきと同型の古い駆逐艦に乗って金星に向かった。途中で壊れるんじゃないか、と南部がふざけながらも不安がっていた。

  「古い艦を解体してコスモナイトを使ってヤマトの様な戦艦を創るつもりなんだ
   ろうか?」(進)
  <そうなるんだろうな。戦いなんかないに越した事ないが…。>

確かにそうだ。ガミラスの攻撃にさらされた時、地球の科学力では全く歯が立たずイスカンダルの使者、サーシァが来なければ…

  <ま、休憩終る前にユキに連絡しておけよ!じゃぁな!>

島が最後敬礼をしながら画面から消えた。





作品名:流れ星 作家名:kei