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彼女は超新星

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「計画」は皐月と流子とマコの約束の「デート」の日に決行された。
 初めは蟇郡は別の日にマコを呼び出し1対1で告白するつもりだったし、計画を主催協賛後援協力した四天王も彼の意思を尊重するというよりも、この告白は蟇郡と満艦飾の間のことであり、彼の主君であり彼女の大の親友である他の二人の前で行う理由が見つからなかったのでそうするつもりだった。そう考えればもちろん他の三人だってこの告白に関与する理由などないのだが、彼らの言い分によると例の一ヶ月の間落ち込む彼に大変やきもきさせられたのだからこれぐらい野次馬、いや手伝わせろという言い分のようであった。
 しかし、問題はやはり満艦飾マコであった。
 じゃあどうやって満艦飾を呼び出すか、メールか電話かと初めに猿投山が声を上げたが、本能町がなくなりスラムを脱したはずの満艦飾家には携帯やパソコンの有無の前にそもそも電話線が引かれていなかった。それなら手紙でロマンチックに行きましょうと蛇崩がいえば、ぶっ飛んだ思考回路をもった満艦飾が手紙を読んでそのままきちんと文面通りに受け取るだろうかと蟇郡が心配そうに呟く。じゃあ迎えに行けばいいじゃない、家族の前で告白よ、とじれったそうに蛇崩がいえば、そんなことできるかと蟇郡は顔を真っ赤にして、ついでに巨大化して叫んだ。それならば彼女が行きそうな場所を予測して待ち伏せしよう、と犬牟田が提案したところで、自由気ままな満艦飾が一人で行きそうな場所など予測できるのか? という言葉と共に、がれきの山となった本能寺学園をどうにかするために本能町内にとりあえず設置された生徒会室カッコカリ、に彼らが慣れ親しんだ光が充ち溢れた。

「皐月様!」と反射的に名前を呼び、顔を伏せようとしたが、思わず彼らは顔を彼女に向けたまま硬直した。
 彼女はあの麗しい長髪をばっさりと切っていたのだ。
「もうその呼び方はするなといっているだろう」と穏やかな口調でいった彼女は、それから少し視線を逸らして髪の先に触れながら、「似合わないだろうか」と呟いた。
 その途端先ほどの静寂が嘘のように四天王は口々に彼女の新しい髪型を褒めたたえ、「世辞はいい」と困ったように、拗ねたようにいう彼女に「世辞ではございません!」と口を揃える。
「お前たちはこんなときばかり団結する」、とおかしそうに笑った彼女は、流子たちとのデートの日に待ち伏せする案を提案した。自由気ままな満艦飾とはいえ、皐月と、そして計画を知らない流子という二人のストッパーがいるのだから興味の赴くままどこかにいってしまったとしてもすぐ探し出すことができ、また、皐月の誘導により蟇郡たちが待ち伏せる場所に向かわせることができるだろうという理由からだ。
 全てが終わった後だとはいえ皐月に自分の気持ちのありかを知られていたことに赤面してうつむく蟇郡の背を三人が慰めるようにぽんぽんと叩く。四天王の他三人の前で行うことについてはもはや諦めていたとはいえ、皐月様の御前で、そしてかつての敵の流子の前で告白に及ぶことに蟇郡は首を横に振ろうとしたが、それでは恋愛上手そうな大人の意見を取り入れるため美木杉さんに相談しよう、といい笑顔で皐月が携帯を取り出したところで降参した。色んな意味で自分と真逆のあの優男が面白おかしく考えそうな計画など見るまでもなく実行できないだろう。


 そして彼らは当日を迎える。


作品名:彼女は超新星 作家名:草葉恭狸