守るべきもの
翌日、事件は起きた
先日の掃討時に捕獲された2体の巨人が
立体起動装置を使用した何者かによって殺されたのだ
「最後にシャフトを交換したのはいつだ?」
サシャが憲兵団の兵士に問われる
「6日前の掃討作戦後です」
「すべて登録にある」
「よし、次だ!」
このように、兵士ひとりひとりに
事情聴取が行われていた
「巨人を殺して罰せられることもあるんだな」
「確かに・・・変な話だけど
貴重な被検体だからな」
ざわざわと話し声が聞こえてくる
「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな」
「・・・うん」
アルミンとコニーも小さく話す
「でもこれじゃあ
巨人に手を貸したようなもんだよ
その人の復讐心は満たされたかもしれないけど
人類にとっては打撃だ」
アルミンは冷静に言う
「オレは馬鹿だからな・・・わかる気がする」
「・・・!」
「もう何も考えられなくなっちまうよ
オレ、巨人を見る前は本気で調査兵団に
なるつもりだったんだぜ・・・
けど、今はもう二度と巨人をみたくねぇと思ってる
今日兵団を決めなきゃいけねぇのに・・・」
コニーは俯く
巨人に対する恐怖がコニーを襲う
「チキショー・・・
あのジャンが調査兵団になるって言ってるのにな・・・」
『オレは・・・オレは
調査兵団になる』
あれだけ調査兵団をバカにして
憲兵団になり、内地を目指していた男が
あの巨人の出現で変わった
「なぁ、アニ
お前はどう思った?
あいつがやるって言ってんだぜ?」
アニは正面を向いたまま
いつもの口調で返す
「別にどうも思わないけど?
私の意志は変わらないから」
「そうか
お前は憲兵団にするんだよな・・・」
コニーはそのまま考え込む
「・・・・・・なぁアニ
オレも憲兵団にした方がいいかな?」
「・・・あんたさぁ
人に死ねって言われたら死ぬの?」
「なんだそりゃ、死なねぇよ」
「なら自分に従ったらいいんじゃないの
アルミン、あんたはどうなの?」
「え?」
アルミンは突然呼ばれて少し驚く
「僕は・・・
そうしなきゃいけない理由が理解できたら
死ななきゃいけない時もあると思うよ
・・・嫌だけどさ」
アルミンははっきりと答えた
「そう・・・決めたんだ」
「うん」
「あんたは弱いくせに根性あるからね」
「あ、ありがとう」
「マジかよアルミン、お前まで・・・」
コニーはアルミンの言葉に再び悩む
自分がどうすべきなのか
どうしたいのかを・・・
きっとコニーだけではない
何人もの兵士が悩んでいる
巨人の恐怖を知ってるが故に・・・