守るべきもの
(もうだいぶ退却したみたいだけど・・・)
まだサシャやミカサたちの姿が見えない
隠れながら地上で戦闘していたケイだが
さすがに心配になり屋根の上に上がる
(どっちにしろもう立体起動装置のガスが少ない
本部の方に向かってみよう)
本部に近づくと
次々と兵士が飛び出してきた
「ケ、ケイ!」
その中にはサシャも混じっていた
「よかった、無事だったんですね」
「そっちこそ、遅いからすごく心配したよ」
「いえ、本部が巨人に攻め込まれて
ガスの補給ができなかったんです
先ほどようやくみんなで巨人を倒して補給ができて」
「そんなことが、でもよかった
じゃあ先に行ってて
私もガスを補給してから撤退するから」
「わかりました!まだ外には巨人が残ってるので
気をつけて下さいね」
「うんっ」
サシャと別れて
再び本部へ向かう
本部の近くにはまだ数人兵士が残っていた
「ミカサたち・・・?」
ケイはミカサやジャン、ライナーたちのもとへ行く
「なっ・・・
と、共食い?」
目の前の光景に驚いた
巨人が巨人を襲っている
今までで初めて見る光景だ
「ケイ・・・」
「アルミン、あれは何?」
「よくわからない
ただあいつはボクたち人間には興味を示さず
ひたすら巨人を殺しまくる奇行種のようだ」
「奇行種?」
巨人が巨人を襲うなんて聞いたことすらない
「どうにかして
あの巨人の謎を解明できれば・・・
この絶望的な現状を打開する
きっかけになるかもしれないと思ったのに・・・」
ミカサが呟く
「同感だ
あのまま食い尽くされちゃ
何もわからず終いだ!
あの巨人にこびりついてる奴らをオレ達で排除して・・・
とりあえずは延命させよう!」
ライナーが言った
「正気かライナー!!
やっとこの窮地から脱出できるんだぞ!?」
ジャンが叫ぶ
「例えばあの巨人が味方になる可能性があるとしたら・・・?
どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」
アニも割って入る
「味方だと・・・!?
本気で言ってるのか!?」
「あ・・・あいつは
トーマスを食った奇行種!?」
アルミンが叫んだ
ダンッ
「ウォォォォォォォォォォォォォッ」
突然、大勢の巨人に襲われていた奇行種が
呻き声を出しながら暴れだす
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
腕はないものの
パワーだけで他の巨人を押しどけて
アルミンが指差した奇行種の方へ突進して
喉いかぶりついた
しかし他の巨人がまた襲いかかる
両腕のない奇行種は
咥えていた巨人を勢いよく
他の巨人とともに壁に叩きつけた
(私は、夢でも見てるのかしら)
「オイ・・・何を助けるって?」
その奇行種は叫び続ける