守るべきもの
「あっ・・・!!」
ズシィィィィィンッ
やがて、その奇行種は倒れた
「さすがに・・・力尽きたみてぇだな」
「もういいだろ?ずらかるぞ!
あんな化け物が味方なわけねぇ
巨人は巨人なんだ」
ジャンの言葉に誰も反応しない
「・・・オイっ?」
ジャンが振り返ると
他の全員の視線が、あの奇行種に向けられていた
思わずジャンも奇行種に視線をやる
ゴォォォォォォォォッ ブチッ
奇行種のうなじから何かが千切れる音がした
その瞬間
ミカサの表情が変わる
「まさか・・・」
ミカサが奇行種に駆け寄る
そこに現れたのは・・・エレンだ
ミカサはエレンを抱きしめると
泣き始めてしまった
アルミンも駆け寄った
「一体・・・何が」
エレンの手を握り締める
「これをエレンが・・・やたってことか?」
他のみんなは絶句していた
(巨人が巨人と戦った?
そんな事例見たことも聞いたこともない
ましてや、
人間が巨人化するなんて事例も―――)
「と、とりあえず!全員急いで退却しよう!!
ミカサ!そのままエレンを運ぶことはできる?」
ケイが呼びかける
このまま突っ立っていても仕方がない
とりあえず撤退して安全確保をすることが
最優先だ
「当たり前だ。私が運ぶ」
とりあえず全員移動する
重い空気の中
ケイたちは軽快に宙を舞い
壁内へ移動した