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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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帰還した蒼雪を、サイレンスが出迎える。

「お帰りなさい。無事で良かった」
「ありがとう。君の方は?」

ふと相手の顔が曇ったので、蒼雪は嫌な胸騒ぎを感じた。

「それが・・・・・・逃げたように見せかけて、付近に潜んでたみたいで。ジェネラルがすぐ応戦してくれたから、被害はないんだけど、でも」

言い淀む相手に、蒼雪は苛立ちを感じ、強い口調で先を促す。

「でも、何だ? まずいことでも? ジェネラルは? 
帰ってるんだろう?」
「あっ、あの、いえ、被害はないの。ただ、数が多かったから、心配で、その、また、部屋に籠もったきりで、邪魔するなって・・・・・・言われて・・・・・・」

俯き、言葉が消えていくサイレンスから、蒼雪は顔を背ける。

「・・・・・・すまない。君に当たってしまった」
「い、いいの。ごめんなさい、私が、ちゃんと」
「君のせいじゃない」

その言葉が、先ほどのシザーズに重なって、思わず強い口調で遮った。誰も彼も、どうしようもない事情で、自分を責めている。
驚いたように顔を上げたサイレンスに、蒼雪はゆっくりと繰り返した。

「君のせいじゃない。君の能力は必要なものだ。異形を倒すだけが、重要なことじゃないよ。サイレンスは、自分の役割をきちんと果たしてる。だから、これ以上、自分を責めないでくれ」

サイレンスは蒼雪を見つめた後、顔を伏せ、絞り出すように言った。

「・・・・・・ヴァイスは、ジェネラルのこと、父親のように慕ってる。あの子は、今まで頼られるばかりで、誰かを頼ることが出来なかったの」
「サイレンス」
「・・・・・・ジェネラルがいなくなったら、あの子はきっと立ち直れない。私、これ以上、あの子に辛い思いをさせたくない」

蒼雪は、サイレンスの震える手を取り、

「俺が、ジェネラルの様子を見てくる。大丈夫、いつもの気まぐれだよ」
「・・・・・・必要な時は、直ぐに呼んで。私」
「分かってる。大丈夫だから」

安心させるように頷くと、蒼雪はサイレンスの手を離して、ジェネラルの部屋へ向かう。シザーズの、「自分で引き受けてる」という言葉が耳を離れなくて、足を早めた。