二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

INDEX|4ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

翌朝、蒼雪が深夜の呼び出しがなかったことに安堵していたら、コツコツと扉を叩く音がした。
こんな早くに誰だろうかと訝しがりながら扉を開け、不機嫌な唸り声を上げる。

「おはよう」
「・・・・・・何の用だ」

ジェネラルは動じた様子もなく、真紅の瞳を蒼雪に向け、

「分かんないならいいよ。じゃあね、おやすみ」

くるっと向きを変え、すたすたと歩き出した。

「おいっ! 一体何の」
「大声出さなーい。後はグレイに聞いて」

専属医師の名を出され、蒼雪はハッと息を呑む。もしやモモの身に何かあったのかと、慌てて部屋を飛び出した。



蒼雪が医務室に駆け込むと、コーヒーの匂いだけが漂っていて、人影はない。きょろきょろと見回していたら、「どちら様?」と机の下から声がした。

「あっ、蒼雪、です」

驚いて視線を向けると、まずくすんだ灰色の髪が見え、次に青い目が覗く。

「うっかり部長までついてきてない?」
「大丈夫ですよ」

蒼雪が笑いながら答えると、年若い医者がひょっこりと顔を出した。その目元がこすったように赤いのに気がつき、また徹夜だったのかなと考える。医療チームの中で一番年下のグレイは、何かと仕事を押しつけられているようだった。

「失礼、落とし物をしたんでね。おはよう、蒼雪。いい朝だ」
「おはようございます、グレイさん。朝早くにすみません」
「別にいいさ。将軍に叩き起こされたとこだし」

グレイの言葉に、蒼雪は身を堅くする。

「それは」
「何だ、聞いてない? モモが、明け方ベッドから落ちたんだ。体の方は何ともないけど、怖い夢を見たとかで泣き出したから、今はヴァイスの部屋にいる」
「そうでしたか」

ほっとしたの束の間、蒼雪は沸き上がった疑問を口にした。

「何で、ジェネラルが?」
「ええ? 本当に何も聞いてないんだな。夜中に異形が襲ってきたとかで、ジェネラルが出動してる。それで帰ってきたら、モモの部屋で物音がして、見に行ったんだと」

驚きの余り固まる蒼雪。異形が出現したのに、自分はそれを知らなかったなんて。
蒼雪の戸惑いに構わず、グレイはしみじみした口調で、

「将軍の秘密主義にも困ったもんだ。単独行動は控えて欲しい・・・・・・人形は診れないから」