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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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全く、勝手なことを。

蒼雪は、早足でジェネラルの部屋へと向かう。単独での戦闘行為は禁止、異形が現れた場合、最低でも二名以上で向かうこと。これは、シアンが体を壊すまで交渉した結果、勝ち取った規則だ。「神の子」への負担を出来るだけ押さえる為なのに、ジェネラルの勝手な行動のせいで、水泡に帰してしまうかもしれない。それくらい、危ういのだ。この国と「神の子」の関係は。

自分には守る者がないからといって・・・・・・!

文句の一つも言わないと気が済まない。ジェネラルの部屋の扉を叩こうとした時、横から伸びた手に押さえられた。

「サイレンス」
「ごめんなさい、邪魔するなって彼に言われてるの。特に、貴方には」

シスター姿の女性は、宥めるように微笑みを浮かべる。

「自分が勝手な真似をしたから怒ってるだろうって、でも、そんな暇があったら、モモの見舞いに行ってこいって。何かあったの?」

その言葉に、彼女も異形の出現については知らないのだと悟った。もし、人的被害が出ていたらどうなっていたか。サイレンスがいなければ、怪我人の手当も出来ない。何もかも、ジェネラルが滅茶苦茶にしてしまう。蒼雪は溜め息をついて、サイレンスの手を押しやった。

「いや、大したことはない。怖い夢を見たとかで、ヴァイスと一緒にいるそうだ。ごめん、彼には、いつもお世話になってしまう」
「いいの。一番年上だし、あの子の性に合ってるから」

ふと沈黙が落ちる。サイレンスが、躊躇いながら口を開いた。

「モモに・・・・・・会いに行く?」
「いや。体は何ともないそうだし、皆と一緒にいたほうが落ち着くだろう。君は?」

蒼雪の問いかけに、サイレンスは虚を突かれたように目を見開く。

「私?」
「ヴァイスには、会わないのか? 君は、その」

蒼雪は途中で口を噤んだ。サイレンスはふと目を伏せて、

「私は戦えないから、ヴァイスに負担が掛からない。だから、皆を気にせず会いに行けばいい?」
「・・・・・・すまない」
「私こそ、ごめんなさい。貴方に言うことではないのに」

気まずい沈黙に、蒼雪は「それじゃあ」と言って、身を返す。サイレンスが何かを呟いたけれど、蒼雪には聞き取れなかった。