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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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ジェネラルが異形を相手にしたのなら、保管庫に立ち寄っているはずだと、蒼雪はそちらに足を向ける。
人形が封印した異形は、形も大きさもバラバラだ。道具に封じる者、異形を燃やす者、凍らす者、切り刻む者。だが、何らかの「形」は残ってしまう為、封印が解けぬように厳重に保管する必要がある。十年以上に及ぶ戦いの中で蓄積された保管物は膨大な数になり、場所の確保はどの支部でも頭の痛い問題だった。

「おはよう、早いね」

蒼雪の姿に気づいた職員が、声を掛けてくる。挨拶を返し、ジェネラルが封じた異形を持ってきたか聞くと、相手はぽかんとした顔で、

「え? 何でジェネラルが持ってくるんだ? 逆だろ?」

言われて、蒼雪は自分の勘違いに気がついた。
ジェネラルは、異形を「封印」しない。「消滅」させるのだ。

「あ、そうでした。すみません、お邪魔してしまって」
「いや、いいよ。それより、ジェネラルの話が出たついでだ、また消しにきてくれって頼んどいて。他からも預かったりで、結構パンパンだからさ」
「分かりました」

蒼雪は頭を下げ、保管庫を後にする。



真紅の瞳を持つジェネラルは、唯一、異形を消滅させられる存在だ。二ヶ月前に突如現れ、協力してもいいと言ってきた。
単身現れた人形に、神の子は何処にいるのか、何故異形を消すことが出来るのか、あれこれ聞き出そうとする者達に、「うるさく聞くなら、いいよ」と背を向けた彼を引き留めたのはシアンだった。
気が向いたときにしか出動せず、何も言わずにふらりといなくなるジェネラルを、シアンがどれだけ頭を下げて庇ってきたか。それをあいつは分かっているのだろうかと、蒼雪は再び怒りが沸いてくるのを感じた。
やはり、叩き起こして文句を言ってやろうと足を向けた時、出動の合図であるサイレンが鳴り響く。
蒼雪は、一瞬顔を上げてから、全力で駆け出した。