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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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「ジェネラル!」

扉を開けて飛び込み、足を止める。黒光りする銃口が、ぴたりと狙いをつけていた。

「反応が遅い。僕が本気だったらどうするの?」

ジェネラルの言葉に、蒼雪は苛立たしげに舌打ちして、

「お前と遊んでる暇はないんだ。さっさとしろ」
「何を? まさか出動しろっての? さっき帰ってきたばかりなのに?」
「知るか。お前が勝手にやったことだろう」
「大体さー、今回の出現位置、分かってる? 無人だよ、無人の廃墟。放っておけば? そのうちいなくなるでしょ」
「何故、場所を知っている?」

場所や出動するメンバーなどの指示は、全員で聞くのが決まりのはずだ。
蒼雪の言葉に、ジェネラルはニヤッと笑い、

「蒼雪には教えてあげなーい」

蒼雪はジェネラルを睨みつけると、「勝手にしろ」と言って背を向ける。後ろから、いかにも面倒くさそうなジェネラルの声が響いた。

「あー、はいはい。分かりましたよ。一緒に行ってあ、げ、る」
「ああ?」

振り返ると、ジェネラルは心底だるそうに肩を竦め、

「君単独じゃ、死にそうだし? シザーズと紅葉は出動停止だよ。知らなかった?」
「えっ? なっ、だから何で」
「サイレンスは戦闘向きじゃないしね。分かったら、ちゃんとついておいで。モモを殺したくないなら」

モモの名前を出されて、蒼雪は言葉に詰まる。早朝の悪夢は、あの子にとって、どれほどの負担になっただろう。

「僕の側にいれば、大丈夫だよ」

耳元で囁かれ、ぎょっとして身を離した。ジェネラルはくすくす笑いながら、早足で出口へと向かっている。蒼雪も、慌てて後を追った。

「あ、ジェネラル! 蒼雪も!」

廊下の端からシアンが駆け寄ってくる。だが、ジェネラルは「転ぶよ」と声を掛けただけで、そのまま歩き去っていった。

「えっ、ちょ、何処へ」
「そーせつのワガママに付き合ってあげるのー」
「出動します。私と、彼で」

蒼雪は急いで付け加えると、まだ混乱している様子のシアンを置いて、ジェネラルを追いかける。申し訳ないが、支部長に構っている暇はなかった。