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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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建物を出てすぐ、ジェネラルが立ち止まる。その背にぶつかりかけた蒼雪も、慌てて足を止めた。

「何を」
「また出るの?」

蒼雪の抗議は、目の前にいる黒髪の少年に遮られる。非難がましい真紅の瞳が、じっと二人を見据えた。
「神の子」の一人、ノアール。蒼雪も何度か顔を合わせてはいるが、余り言葉を交わしたことはない。

「出るよ。正確な位置、分かる?」
「南東に直進。コラール平原を越えたとこにある、神殿跡。放っておけばいいじゃん、どうせ誰もいないんだから」
「そうはいかない」

ジェネラルは、ぽんぽんとノアールの頭を叩くと、

「戻って寝てな。シザーズは出動停止だから」

ノアールは、むすっとした顔で、「馬、用意しておいた」と言い残し、きびすを返した。

「蒼雪、行くよ」

ジェネラルに促され、蒼雪も慌てて馬の手綱を手に取る。

「あの子は」
「ノアール。シザーズの制作者で、異形の気配を察知できる。合図のサイレンは、あの子が鳴らしてるんだよ。知ってた?」
「えっ? いや」

首を振る蒼雪に、ジェネラルは短い笑いを漏らした。

「ぐずぐずしてると、置いてくよ?」

馬の腹を蹴り、疾風のごとく走り去るジェネラルに、蒼雪も続く。ノアールの真紅の瞳を、脳裏から追いやりながら。



コラール平原を抜けた辺りから、二人は馬の歩を緩め、慎重に進んだ。空は澄み渡って雲一つないが、お世辞にも楽しい散策とは言えない。瓦礫の山が見え始めた頃、遠吠えのような音が微かに響いた。今のは異形の鳴き声だろうかと考えていたら、

「蒼雪、賭をしよう」
「はあ?」

何を言い出すのかと顔を向けた蒼雪に、ジェネラルは瓦礫を指さして続ける。

「どちらが多く倒すか。負けたほうは一つだけ何でも言うことを聞く。どう?」
「・・・・・・遊んでる場合か」

蒼雪の苛立った声に、ジェネラルは動じるどころか、クスクス笑い、

「遊びの要素も必要だよ? はい、よーいドン!」
「うわぁ!?」

ジェネラルに尻を蹴られた馬が、甲高くいななき、後ろ足で立ち上がった。蒼雪は、振り落とされまいとしがみつくことしか出来ないまま、暴走した馬に廃墟へと連れて行かれる。