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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】前編

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地面を蹴る蹄の音に、異形の唸り声が重なった。為す術もなく馬にしがみつく蒼雪の目の前に、黒い影達が躍り出る。迎え撃つ体勢も取れないまま、影が飛びかかってきた瞬間、辺りに乾いた銃声が鳴り響いた。
一発、二発、正確に急所を捉えた弾丸が、異形の体にめり込む。断末魔の悲鳴を上げる暇もないまま、歪んだ姿は散り散りになって消えた。

「うわっ!?」

発砲に驚いた馬が、滅茶苦茶に体を揺さぶって暴れ出す。堪えきれずに手綱を離してしまった蒼雪の体が、宙へと投げ出された。

モモ・・・・・・!!

非難めいた真紅の瞳が、脳裏をよぎる。あの子は、自分を許してくれるだろうか。ジェネラルに構わず、会いに行くべきだったという後悔が、胸中に沸き上がった。
鈍い音と共に、背中から倒れ込む。だが、覚悟した衝撃はなく、代わりに、

「重い! ちょっとは痩せたら!?」

ぐいっと押し退けられ、口にしかけた感謝の言葉を飲み込んで、蒼雪はジェネラルを睨みつけた。

「お前が、くだらない遊びを持ちかけるからだ」
「何それ。庇ってあげたのに、感謝の気持ちはないわけ?」

確かに、ジェネラルが下敷きになってくれたおかげで無傷だったが、元はといえば、相手がくだらない悪戯を仕掛けたからではないかと、蒼雪は無言で顔を背ける。

「まあ、いいけどさ。賭は僕の勝ちだから。言うこと聞いて貰うよ」
「ふざけるな。乗った覚えはない」
「負け犬の遠吠えですかー? 僕に負けたのが、そんなに悔しい? それって、君が弱いからじゃないですかねえ?」
「なっ!」
「いいから、帰ってモモに伝えてよ。『約束は守った』って」

そう言うと、ジェネラルは蒼雪に背を向けた。

「えっ? なっ! 何でモモに!? おい、何処へ行く!! 約束って何だ!!」
「そーせつには教えてあげませーん」

ひらひらと手を振って、ジェネラルは大股で歩み去る。追いかけようとした蒼雪だが、すぐに諦めた。戻ってシアンに報告しなければならないし、揉めて余計な体力を使いたくない。ジェネラルが残していった馬の手綱を取ると、苛立たしげに舌打ちしてから、その背に跨った。