二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

INDEX|11ページ/29ページ|

次のページ前のページ
 

「ノアールとヴァイスも、別の支部から来たんだ。ノアールはミドリの血縁だから、側にいれば心強いだろうと。ヴァイスはノアールの強い希望で。一番懐いていたからね」

三人にそんな結びつきがあるとは知らなかったと、蒼雪は思いを巡らせた。天涯孤独となったモモは、ここでも部外者なのだろうか・・・・・・。

「モモは、ミドリの親友だ。あの二人は、双子のように仲がいいよ」

グレイの言葉に、蒼雪はハッと我に返る。そんなに顔に出ていたかと、自分の頬を撫でた。グレイは小さく笑って、話を続ける。

「シアン支部長を指名したのも、ミドリの父親だ。元はバーミリオン支部で補佐官をしていたのだけれど、人柄を買われたらしい。支部長が急速に改革を進められたのも、ミドリの父親の財力があったからだな」

壊滅した支部の名に、蒼雪は身を堅くした。唐突に、傷ついたサイレンスと、神の子の少女の姿が脳裏に蘇る。

「あの、サイレンスは」
「落ち着いてはいるんだけどね。まだ意識は戻らないようだ。もっとも、人形は分からないことばかりで」

くすんだ灰色の髪を揺らし、グレイは溜め息をついた。

「サイレンスが動けないと、こっちもかなりの痛手だ。彼女に頼りすぎてはいけないと分かってるけど、彼女がいれば、助かる命は格段に増えるから」
「一緒に保護された子は・・・・・・」
「あの子も、まだ。全力は尽くしているが、後は本人次第かな・・・・・・」

グレイは再び溜め息をつく。サイレンスさえいれば、そう考えているのは明白だった。

『ヴァイスは十四年間、倒れたことがない』

その意味が、重みが、蒼雪の胸に迫る。そこまで追いつめたのは自分達だと言った、シアンの苦悩も。

「ヴァイスが無事ならば、サイレンスもいずれは動けるようになるのでしょうか?」

蒼雪の質問に、グレイは髪を撫でつけながら、

「そう。そうだと思う。多分。ただ、こういうケースは、今までなかったから。ヴァイスも、どこまでが空元気なのか、分からなくて。蒼雪からも、良く言ってくれ」
「私、が?」
「最近、仲いいみたいじゃないか。さっきも、モモを迎えに来た時、蒼雪のことを聞いてったし。モモが会いたがってるのは勿論だけど、ヴァイスも同じ気持ちじゃないかな」

グレイの言葉は、蒼雪には意外だった。ジェネラルを慕っているのは聞いていたが、自分とは、モモを通してしか関わってこないのに。

「・・・・・・分かりました。言っておきます」
「そうしてくれると助かる。サイレンスのこともあるけど、それ以上に、ヴァイスは皆の支えであり、希望なんだ。『最初の神の子』なんて、言われてさ」

グレイは顔を背け、口の中でもごもごと呟く。蒼雪は聞こえない振りをして、グレイに別れを告げ、医務室を出た。
扉を閉める前に振り向くと、年若い医者は俯き、机上の書類をかき回している。
『クソくらえだ』
吐き出すような呟きは、誰に向けたものだったのだろう。