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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

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「そーせつー!」

駆け寄ってきたモモを、蒼雪は慌てて抱き止めた。

「モモ、まだ無理をしては」
「蒼雪、ごめんなさい。私がちゃんとしてなかったから」

その言葉を遮るように、蒼雪はモモの頭を自分の胸に押しつける。

「モモは悪くないよ。俺の方こそごめん。辛い目に遭わせてしまって」

モモは、無言で蒼雪にしがみついてくる。この子はこの子なりに考え、気に病んでいるのだと、今更気がついた。ミドリを壊したくないと言ったグレイの判断は、正しいものだったのかもしれない。
足音に顔を上げると、ヴァイスの姿が見えた。いつものように、穏やかな笑顔を浮かべて。

「蒼雪。良かった、来てくれたのですね」
「ヴァイス、寝てないと」
「モモがずっと気にしていたのです。貴方が怒っているのではないかと」

蒼雪は、ヴァイスからモモに視線を落とす。黒髪を撫でつけて、「怒ってなどいないよ」と言い聞かせた。
ヴァイスは、そっとモモの肩に手を置くと、

「お茶を淹れましょうか。モモ、今だけ起きていてもいいですよ」
「ミドリは?」

モモがヴァイスを振り仰ぐ。ヴァイスは柔らかく微笑んで、

「ミドリは、紅葉とお話ししてるから。後で持っていきましょうね」
「ノアールは?」
「ノアールもお部屋です。シザーズが来ているんですよ」

後半は蒼雪に向けて言われた。穏やかな赤い瞳がいつ凍り付くかと、蒼雪は慎重に頷く。