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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

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「皆、敷地内から出られないからな」
「ジェネラルも? 彼、外に行きましたよ?」

ヴァイスに聞き返され、蒼雪は虚を突かれた。

「え!? でも、支部長命令だと」

うろたえる蒼雪に、ヴァイスは首を傾げ、

「そう・・・・・・なら、私の勘違いでしょう。此処からだと、境界が分かり辛いんです」

窓の外に広がる、手入れされた庭木を示す。時折吹く風が木漏れ日を揺らす以外に、動くものは見えなかった。

「今日は、散策するのに丁度いいですからね」
「そう、かも。暇だってぼやいてたしな」

蒼雪の言葉に、ヴァイスはくすくすと笑う。サイレンスが深刻な状態にあるとは思えない程、いつも通りに。

「さあ、食堂へ。モモ、戸棚にクッキーがありますよ」
「取ってくる!」

弾かれたように走っていくモモの後ろ姿に、蒼雪は心配で倒れそうな気分だった。ヴァイスが笑って、「大丈夫ですよ」と言うのが聞こえる。

「蒼雪が動けるのが、何よりの証拠でしょう?」
「それは」

言いかけて、紅葉が何を言いたかったのか、唐突に理解した。自分ではミドリを思い切り遊ばせられないから、蒼雪にその役を頼みたかったのだろう。己の鈍感さに歯噛みしながら、それでも、ミドリは紅葉と遊びたいだろうと思い直した。モモが自分を慕ってくれるように、ミドリは紅葉のことを一番に思っているのだから。