【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編
シアンと別れ、蒼雪はジェネラルの部屋へと向かった。そっと扉を叩き声を掛けるが、中から応答はない。鍵は掛けられておらず、すべりこんだ室内に人影はなかった。
ひんやりとした空気、整えられたままの寝具。彼が戻っていないことは明白だ。蒼雪は、ベッドの端に腰を下ろす。
・・・・・・何処にいるんだ。
聞きたいこと、話したいことは山ほどあった。考えなければならないことも。
『自分の頭で考えて』
鮮やかな赤が、脳裏に蘇る。けれど、今は何も考えられなかった。
・・・・・・ジェネラル。
何処にいるのか。誰といるのか。何をしているのか。堂々巡りの思考に、蒼雪は両手で顔を覆う。
ジェネラルに会いたかった。顔を見て、声を聞きたかった。彼に触れたかった。彼を失いたくなかった。
・・・・・・何処にいるんだ。
暗闇が周囲を覆っても、蒼雪は顔を覆ったまま、ただひたすらに帰りを待つ。
夜が明けても、ジェネラルは姿を現さなかった。
作品名:【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編 作家名:シャオ