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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

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「初めまして、蒼雪と申します。支・・・・・・シアン補佐官には、大変お世話になっております」
「とんでもない。あの人の方が、貴方の手を煩わせているのではなくて? 人のお世話は得意でも、自分のことはまるっきり頓着しないんですのよ」

朗らかに笑うマルーンに、蒼雪は気まずくなって視線を落とす。
目の前の女性にとって、時間は止まったままなのだ。夫はバーミリオン支部の補佐官であり、息子は・・・・・・。

「お元気そうで安心しました。補佐官から、会いに行けなくて申し訳ないと」
「気にしてませんわ。そりゃあ、少しは寂しい思いもしますけれどね。でも、此処にはお友達もいますし」

マルーンは手を伸ばし、脇に置いてあったスケッチブックを引き寄せた。

「最近、絵を習い始めましたの。本物の画家の方とお知り合いになりまして、その方が教えてくださいますのよ。ほら、息子ですわ」

彼女が開いたページには、少年の似顔絵と、色褪せた家族写真が挟まっている。まだ若いシアンとマルーンの間に、緊張した顔の幼い少年。目元が父親にそっくりだと考えていたら、

「息子は、マゼンタは元気にしてますかしら?」

マルーンの潜めた声に、蒼雪は我に返った。

「あっ、えっと、あの」
「他の支部の様子は分かりませんこと? 夫も、詳細は分からないと申しておりますが、それでも、私はあの子の母親ですし」

不満を滲ませた言葉に、蒼雪は再び写真に目を落としながら、

「お元気ですよ。ヴァイスという年長の子がいるのですが、彼に懐いているようです」
「ああ、聞いたことがありますわ。「最初の神の子」でしたかしら?」
「・・・・・・はい。面倒見の良い子で、年下の子達から、兄のように慕われています」
「そうですか。そういう子がいるなら、安心ですわね。何せ、マゼンタはまだ十歳ですから。手の掛かる年頃ですわ」
「神の子達は皆、本当の兄弟のように仲が良いのです」

蒼雪は、自分の声が不自然ではないか、気が気でなかった。ヴァイスが言葉を濁したように、マゼンタはもうこの世にいない。それを、この女性は知らないのだ。幻想に閉じこもったままで・・・・・・。
間を持たすように、蒼雪はページをめくる。数枚の風景画の後に、突如見知った顔が現れた。