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【腐】スカーレットサイン【モジュカイ】後編

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翌日以降の騒ぎは、後から振り返っても良く思い出せないほど、混乱と喧噪に満ちていた。
シアンは罷免され、裁判に掛けられることとなったが、同時に「神の子」への非道な扱いを暴露され、今まで味方であった人々は、一転して厳しい目を向けてくる。特に「神の子」の親達は、とても子供を預けられないと騒ぎ立て、世間は彼らに味方した。異形の襲撃が落ち着いていたこともあり、非難の嵐は、平和の為という大義名分を押し流していく。ついに、国も重い腰を上げ、大幅な組織改革を迫られることとなった。

「寂しくなりますね」

ノアールの荷造りを手伝っていたヴァイスが、ぽつりと漏らす。蒼雪も手を止め、顔を上げた。ノアールは、鞄にシャツを詰め込みながら、

「どうせ、また戻ってくる」
「ノアール」
「スカーレットサインがある以上、戦いからは逃げられない。単独で立ち向かうほど、俺だって馬鹿じゃない」

ヴァイスはノアールの肩に腕を回し、そっと寄り添う。ノアールは不機嫌そうに顔を背けた。

「手紙を書いてくださいね。外の暮らしがどんなものか、教えてください。私はもう、忘れてしまいましたから」
「・・・・・・ミドリにも、言っておく」

手分けして大きな鞄を部屋の外に運び出した後、蒼雪が小物を詰め込んだ鞄を渡そうとしても、ノアールは不機嫌そうな顔で俯いたまま、手を出してこない。困惑した蒼雪が、ヴァイスに助けを求める視線を向けていたら、ノアールに抱き締められた。

「蒼雪も、その、元気、で」
「えっ、ああ、うん。ありがとう」
「シアンさんのこと、気に病まないで。蒼雪は、正しいことをしたと、思う」
「・・・・・・」

蒼雪が視線を向けると、ヴァイスも穏やかに頷く。皆が落ち込まないよう気を配っていたつもりだが、どうやら気を使われていたのはこちらのようだった。
そこに、ひょっこりとシザーズが現れ、家族が迎えにきたと告げる。

「ノアール、涙のお別れは済んだ?」
「泣いてない」

ノアールは、ぷいっと横を向く。シザーズはくすくす笑いながら、ミドリとモモは大変な状況だと言った。

「サイレンスに紅葉、フロイラインまで総出で慰めてるよ。良くあれだけの涙が出るもんだ」
「そうか。手数を掛けるな」

蒼雪は、フロイラインの名を聞いてほっとする。保護された神の子は、サイレンスの尽力によって回復し、それにともなってフロイラインも姿を現した。消えていた間の記憶はないらしく、混乱しながらも、蒼雪達は命の恩人だと礼を言われる。バーミリオン支部が無くなってしまったこともあり、此処で家族の迎えを待つこととなったのだ。
この支部に残るのは、身よりのないモモと、残ることを希望したヴァイスだけ。

「私はもう、外の世界では生きていけないから」

そう言って寂しげに微笑むヴァイスに、蒼雪は掛ける言葉が見つからなかった。